ダブルアーツ

□青春にして、胎動
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「…ねぇ、」
「……なに?、キリくん。」


「キス、していい?」


エルーと2人きりの部屋。ベッド脇に2人で並んで、目を合わさずに沈黙を続けて何分経ったんだろう。もしかしたら何十分となってしまうかもしれない。
指が二本だけ合わさって繋いでるとは言えないけれど、重なりあってエルーの体温を感じてずっとお互いそうしていた。


「いいよ。」


エルーと目が合う。
いつもみたいに真っ直ぐで透き通った、綺麗な目で彼女もオレを見ていた。それだけで胸が苦しくなる。誰かとキスなんか初めてではない。それこそ何度もしてきた。なのに、

この緊張は何だろう。心なしか震えてきた気がする。
エルーと目が合ったまま、彼女は逸らさない。オレも目を逸らさない。
2人で暫く見つめあっていた。それも長かったと思う。


放課後、夕暮れのほのか暗い部屋の中で、しんと、
ただ、しんと、


そして、彼女とオレの唇が合わさりそうになったとき、オレは止まる。エルーの澄んだ目とオレの視線が至近距離でかち合った。

綺麗な、綺麗なその瞳。
誰も触れたことが無い彼女の領域に入ろうとしている、自分。
征服したい、とそう思う。視界だけではない、全ての、彼女の思考までもを。いっぱいにしたい。
ただ、それだけ。


「目、閉じて。」


素直に彼女が目を閉じたのを合図に、唇と唇が合わさった。自分の視界も途切れる。
エルーの柔らかい、温かい唇を食むように吸う。彼女が小さく声を漏らすのを聞いて、聴覚が研がれたような気がして、もう脳内は言い知れない喜びと興奮でいっぱいだった。

浅ましい男だと思うだろうか。こんなに気持ちいいキスがあるとは知らなかった。彼女に、欲情している。


「んぅ、」
「、える」
「っ、ふ」


脳内がじくじくと、行為を先走りさせる。いつの間にか激しくなっていた口付けに苦しくなったのか、彼女にトントンと胸を叩かれて意識が覚醒する。


「はぁ、はっ…」
「、…ごめん」


酸欠になったように息を荒くしている彼女を抱き締める。
するとぎゅ、と背中に腕が回された。それが嬉しくてさらに力強く抱き締める。感情が、溢れる。


「、すきだ」
「…うん。…私も、だよ。」
「……、」




青春にして、胎動
(この間までは知らなかった確かな感情が、)(少しずつ息をしていく。)




―――――――――――――

恋をすると、ワケわかんなくなるよね!っていう。
エルーを前にすると理性と言う名のストッパーが糸みたいになるキリくんを書きたかったけど
不完全燃焼のようだ!\(^p^)/

私ではこれが限界ですorz
愛はたっぷり込めました!

匿名様、素敵なリクエストありがとうございました!




20100823

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