ダブルアーツ

□独白世界
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(空白の4年)(1000hit御礼)


「好き、」とも「愛してる、」とも言えないまま、オレ達は手を離した。


「はぁ……、」


手のひらを見つめながら溜め息を吐く。今日はオレのことを好きだと言う女の子と、出掛けていた。簡単に好きだ、と言えるんだ。かなりお門違いだということは承知の上で、簡単に思いを告げられるその子の現状に少し嫉妬した。


「でね、キリくん。」

「ん?」

「あたし、キリくんのこと好きよ、」

「……ああ。」

「付き合ってくれる?」

「………ああ。」


最初の母音のみで返された返事にすら満足したのかその子は即座に腕を絡めてくる。エルーは絶対にそんなことしてくれないけど、何故か影が被って見えた。


こんな風にしてくれたら、こんな風な表情を見せてくれたら、こんな風に言ってくれたら、
こんな風に、傍に居てくれたら、
まるで妄想のように傍らに寄り添うエルーの影をいつも追い求めていて、代わりの色は次々と要らなくなった。


「ごめん、やっぱ無理。」


相手を思いやることも、相手を感じることも、全ての機能が停止したままで、エルー以外の誰を受け止めよう。
いつも同じセリフで、同じ顔で、同じ様に、さよならを何度も告げた。もちろん、エルーと離れた時ほどの切なさは寄り合わせて居なかったわけだが。


もう、どうにもできない。
エルーに会いたい。触れたい。最後にキスしとけば良かった。会いたい、抱き締めたい、触りたい、


「重症だな。」


ふと声がして振り向く。


「ファラン、せんせー…」

「泣くな。女々しい奴だなお前は。」

「せんせーには分かんないよね…この切なさ…」

「……お前より長く生きてるんだ。一度くらいはあるさ。」

「………エル〜…会いたいよ〜さわりたい゛〜さみしい〜」

「……静かにしろ。全く…」

「…もうだめだ…」

「お前だって同級近い女子を取っ替え引っ替えしてるだろう。そんな男の言えたセリフじゃないな。」

「う゛っ。だって…」

「お前は少し頭を冷やせ、キリ」

「………………はーい。」


なんだ、結局説教垂れに来ただけか、と悪態つく。どうせなら慰めて欲しかったが人生そう上手くはいかないみたいで。
フワリと流れる軽い風に目を細めて空を見上げるが、エルーと見たときのように綺麗なままで、変わらないその景色に、少し嫉妬した。






―――――――――――――

重症なキリを書かせて頂きました〜(´∀`)
1000hitキリエル!
777hitの続き、というか独白。空白の四年間、キリはこんなこと繰り返してました\(^O^)/ププププレイボーイ…?!←
最悪ですね。
個人的にはこんなキリも萌えるのですが…。


雨森さん、素敵なリクエストありがとうございました!
お持ち帰りは雨森さんのみになります!
1000hitありがとうございました!


またなんだか続編が書きたいです…(^q^)





20081110

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