ダブルアーツ

□影と影で接吻
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(現代)


そういえば今日は快晴だと朝のニュース、天気予報のお姉さんが言っていた気がする。私が屋上に来たその時、やはり屋上は優しげな光に照らされ、冬の冷たい空気と調和して下手したら保健室よりも居心地の良い空間になっていた。


「(誰も…居ないな…)」


周りを見渡し誰も居ないのを確認する。
私、エルレインは一応"優等生"というレッテルを貼られるような良い子の生徒だと思う。何故ならそうしているからだ。奨学金を手にしなければやっていけない家計でもあったことも一つの理由だし、勉強も嫌いじゃないから、いつの間にか周りに言われていた称号だ。その"優等生"とやらも、やはり疲れる。
チャイムが鳴る中、私は居るべき教室には戻らなかった。いわばこれをサボりという。


「(…初めてサボっちゃった…)」


改めてやってみるとドキドキする。
昨日は予習復習宿題に追われ、あまり眠れなかったし、生徒会としての仕事も多少溜まってきて、ダメだー…せっかくなのに気が休まらない…ああでも…文化祭の書類ももうすぐ出さなくちゃいけないし、紛失した鍵の書類も…ん?


「(屋上の鍵…)」


そういえば屋上の鍵も開いていた気がする。
屋上の鍵は開きっぱなしにされているべきではない部類だ。しかも誰も居ないのに開きっぱなしになっているなんて…意外とこんなとこれで見落としを見つけるなんて後で書類に加えなくちゃ…
「あれ?エルー?」


………………………。


「わあっ!」

「うおっ!?」

「すすすすすすみません!いい今すぐに教室戻りますからあわわわわ…!」

「お、落ち着け、ほら、オレだってば。」

「えっ?あ、キリ…くん、」


頭上でした声に驚いて取り乱していると見慣れた顔が給水タンクから出てきた。
キリくん、だ。


「エルーがサボり?珍しいな。」

「いやぁ…ちょっと…」

「なんか疲れてるだろ。偶然とはいえまぁ……ほら、こっちおいでよ。」

「う、うん。」


隣に座るとキリくんに腕を引かれ、キリくんの肩に頭を乗せる形になった。
私とキリくんは、そういう関係で。


「あったかいな…」

「そうだね…」

「……なぁ、エルー。」

「ん?なに、キリくん、」

「キス、しても良いかな…」


ゆったりとした時間が流れ、ぽかぽかと心地よい空気を感じながら、まさしくゆっくり休んでいる中、キリくんの爆弾発言に時間が止まる。
き、きす…?


「キ、ス…?」

「だめかな…」

「いや、あの……」

「ほら、付き合ってもう結構経つし…なんか、エルー可愛くて…」

「、っ…キリくんになら…」

「エルー…」

「…は、恥ずかしいけど…」

「ん。大丈夫だから、」


力、抜いて。
ゆっくり重なる温もりが、じわりと閉じた瞼にも感じた気がして、その心地よさに溺れそうになる。触れ合った先から伝わる愛情が、優しくて優しくて、少し泣きそうになった。

快晴に照る太陽が映したのは、重なる影。それだった。










――――――――――――


陸さん宅の『学園祭』企画に提出しました!!
いやはやお恥ずかしながら…学園でも学園じゃなくても変わり映えしない内容ですみません;;

現代キリエルは付き合い始めてもそんなに急速に展開しない気がします笑
告白しよう!キスしたい!と思ってから行動するのは速いんですが(特にキリが)
そうやって思うまでが長いっていう…感じのキリエルが良いなぁと思いながらこれを書きました!
解説が無いと分かりませんね…orzすみません。

キリが一人で葛藤するのも一興…。
ですがこんな感じのも良いなぁと思いました!

新たなキリエルが広がりまして、企画主催の陸さんにその機会を与えて下さったこと、感謝します!(´∀`)
主催お疲れ様です!ありがとうございました!






20081208

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