ダブルアーツ

□消えてしまった…。
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(双戦舞拾得後の未来辺りのはなし。)



「お前らがそんな関係だったなんて知らなかったな。」


、とキリは言った。
そりゃそうに決まっているじゃないか、言ってないのだから。

いつからだっただろうか。あの男を見つめる度に心が熱くなるような思いをするようになったのは。
いつからだっただろうか。気持ちが通じ合ってキリとエルレインの様に2人で居ることが当たり前の存在になれたのは。


でもそんな彼は、ある日どこかへ消えてしまった。
彼の荷物も、彼自身も、いつのまにか…居なくなっていた。


「置き手紙も置かずに出て行くなんてな…」

「部屋ももぬけの殻でしたし…」

「なぁ、スイ。お前ファランの……ってスイ!?」


ぽたぽたと地面に影を作る。
私は、泣いていた。


「おいおい…闘えなくなるからって何も泣くことな…」
「キリさん、」


「うっ…ファラン……ファラ、ン…」


「あたし、を…おいて、かないで……」


ついに嗚咽まで出てくる。
キリとエルレインの表情を見る暇なんて無くてただただ部屋に静寂が漂うだけだった。
流れる涙は堰を切ったように止まらない、止める術が分からなくなるくらい、悲しかった。

なぜ。何故だファラン。
あたしに何も言わずに消えるなんて、
ずっと、一緒に居てくれるって言ったくせに、



「スイ…おまえ…ファランのこと好きだったのか?」
「っキリさん、」


少し無神経じゃないか、とキリを制止するエルレインの口をキリは止めて再び口を開く。


「付き合ってたのか?」


――――――――……


そうだ、
あたしたちは愛し合っていた。






いつでも、どんな時も笑えていたのに、
その時は、頷くことしか出来なかった。










消えてしまった…。
(いつか、この想いも…消えてしまうのだろうか、)










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