□雷
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「なァ晋助…今日も俺と一緒に寝てくんねェの?」

「……もう子供じゃねェから」

「まだ小5じゃねぇか…」

「うるさいっ!とにかく兄貴とは一緒に寝ないしお風呂ももう入らないっ!」

「……兄さん寂しい…いつもみてぇにお兄ちゃん、って呼べば良いのに」

「やだ、とにかく駄目!もう一人で寝る、お休み」


バタン


「………はぁ」


このごろ俺の可愛い晋助が一緒に寝てくれない。
いつも俺にデレデレなのに。
なんか学校で…







「え?高杉まだ兄貴と寝てるの?」

「……お兄ちゃんと寝てるけど?」

「しかもお兄ちゃん?…俺はもう阿伏兎と一緒に寝たりしないよ?…案外子供っぽいんだね」


ムスッ


「子供っぽくない!だったら今日から兄貴って呼ぶし、お風呂も寝るのも一緒にしない」

「へぇ、お風呂まで一緒なんだ」
「う…」

「まぁせいぜい頑張って?」

「絶対にやってみせる!」






みたいなやりとりが有ったらしい。

そして現在に至る。

晋助にいらんこと言ったの誰だよ…

最近寒い、晋助が居ないから余計。

アイツはいっつも布団蹴っちまうから風邪引かないか心配だ…

でもそういって部屋に入ったら怒られた挙句追い出された。


しかし


今日は俺の部屋に来るんじゃないかと自信がある。

何故なら…

今晩は嵐らしい。

晋助は人一倍強がりだが案外恐がりだ、認めはしないけど。

雷や風の音はきっと怖いはず…

と思ってさっきから待ってんだけど…



ぜんっぜん来ねェ!



もう雷は鳴ってんのに!



晋助怖くて泣いちまってんじゃねェかな…流石にもうそこまで幼くはないか。


「はぁ…」


畜生…晋助の子供体温が愛しい…

仕方ねェ、アイツもこんな時間まで起きてらんねぇだろうし…俺も寝るか…


一人で冷たい布団の中に入り眠りについた…






‐‐‐‐‐‐‐






キィ………パタン



……ん?


「あ……兄貴…」


……晋助っ!?


「なぁなぁ兄貴っ」


やっぱり怖くて堪えられなかったのか…

でもこの際だ、お兄ちゃんって呼ぶまで起きてやらねェ。


「兄貴ィ………起きてんだろ?」

起きてるけどよ。


「っ…あ、にき…兄貴ぃ…」


いよいよ泣きそうな声を出し始める

可愛いな畜生。


「っ…ぅ…寝てる、のかよ」


とうとう泣き出してしまった。

仕方ねェ……そろそろ起きて…


「……お…にいちゃん…お兄ちゃん…っ」


来たァっ!久し振りにお兄ちゃんって呼ばれた…

しかも泣き顔で俺の身体揺すりながら。

理性を保て。


「ん?どうした…?」

「きょ、は…っ、寒い、から…一緒に寝る」

「…怖くて来たんじゃなかったのか?」


答えは解りきっているけど。


「違うっ…寒いから!」

「まったく……ハイハイ、おいで、兄ちゃんが暖めてやらァ」

「ん…」


今がこんな可愛いんじゃ将来が楽しみだ…

腕の中で晋助がまだ泣いているのか鼻をすすっている。

それを宥めるようにぎゅうっと抱き締めて

久し振りに感じる心地よい体温と共に再び眠りについた…













「みたいな?こんな可愛い時もあったのに!あの時の可愛さはどこいっちまったんだ晋助!」

「語るなキモい、高3にもなって雷は恐くねェし」

「キモくねェ!せめてお兄ちゃんって呼んでくれよ」

「嫌だ、兄貴でいいだろォが。お兄ちゃん、なんざ俺のガラじゃねェ」

「うぅ…どこで育て間違えたんだ…」

「……兄貴超ブラコン、ウゼェ」

「酷ェ!ブラコンでもいいだろうが!」

「…間違っても俺はブラコンにはならねェぞ」

「本当に?」

「本当に」

「はぁ…兄ちゃん寂しい…」

「………嫌いな訳じゃねェんだから良いだろ?」

「…まじで?」

「聞き返すな」

「………今晩晋助の部屋にいきます」

「来るな、無理」

「ぜってェ行くからな!」




今じゃすっかりツンデレだ。

(デレてねェよ阿呆)










end









最近兄弟土高が好きです☆
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