short story

□思いが募ると大概悪いほうに考える。
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万事屋の応接間。
土方はソファーに座り煙草をふかし、いつもは口数の多い銀時は黙りうつむいている。

「何なんだ、お前は。話したいことがあるって言うから来たんだろーが。」

土方は深刻な暗い声で話さないといけないことがあると銀時が言うので仕事もそこそこに恋人のもとに走ったのだった。

「俺・・・」

土方に促されて話しだそうとするが、なかなか喉の奥から出てこない。
言葉を無理やり引き出そうとすると涙腺が壊れそうになる。

「そんなに無理しなきゃ言えねーなら言わなきゃいいだろーが。」

土方は今にもブルブル震えだしそうなほど固く握りしめられた銀時の拳を見ながら溜め息をつく。
刀を振り回されてもビビりもしない男が何に怯えてるのか逆に興味がある。

「俺、お前と・・・別れる・・」

「ほぅ・・・理由は?」

「・・・へ?」

てっきり怒鳴られキレられて怒って土方は出ていくと思っていた銀時は、予想を裏切る冷静沈着な態度に肩すかしを食らって間の抜けた声をだした。

「だから、理由を言えって言ってんだろが。」

土方は真選組で隊士の相談に乗ったりゴリラのフォローをしたり、冷静に判断を下し実行に移すという作業に慣れている。
銀時が危なっかしく事件に首を突っ込んで怒鳴られるのとは今回は訳が違う。
土方は唐突に別れると言い出す銀時の態度が、自分を嫌になって別れたいと言っているようには見えなかった。だからか反って冷静になってしまう。

「お前といると弱くなる、俺は周りの誰かがトラブルに巻き込まれたら命懸けで助けに行く。」

そこまで言うと銀時は目が潤みそうになるのを抑えるために深呼吸をし、土方は銀時を急かさずに喋りだすのを待った。

「今まで、守りきれたら俺は死んでも構わねぇって思ってたから無茶もした。でもお前を思うと震えが止まらねぇ。」

銀時は堪えきれずにポロッと大粒の涙をこぼした。

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