更新用ブック2

君がいないと
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…なんか、おかしくね?

「せんせ、それ食べないアルか?」

「食うに決まってんだろコルァ。」

「チッ」

「舌打ちすんな!!」




日常化している、神楽と過ごす昼休み。
いつの間にか、昼休みを神楽と過ごすのが当たり前になってしまった。




なんか………おかしい。

俺の安らぎの一時は、どこへ行った…?







「…神楽さァん?今日も来やがったんですか?」

国語準備室にて、銀八はあからさまに顔を歪めた。
午前中の授業によって溜まりに溜まった疲労を癒やそうと、俺だけの部屋、国語準備室に足を踏み入れたのはいいものの。
既にそこには、居るはずの無い先客がいた。


「先生、おかえりヨ!」

「ただいま…って、何普通に迎えてくれちゃってんだコノヤロー!
うっかり『ただいま』とか言っちまっただろーが!!」

「まぁまぁ、落ち着くヨロシ。
がっついてる男はモテないヨ。」

「腹立つ!
コイツ、めっさ腹立つ!腹立たせ大会でチャンピオンになれるよ!!」


ハァ、と溜め息をつきながら、最近お気に入りのチョコパンを口に詰め込んだ。

「だいたいさァ、何でいつも、お前はここに先回りしてるんだよ!」

「先回りじゃないアル。
先生の事待ってるんだヨ。」

タコさんウインナーを口に半分含みながら、ニコッと笑って言った。

…認めたくはないが…可愛い。


「(……うわァ)」


もったいない。
非常に、勿体無い。

もうちょっと、上品っていうか…
大人しかったら、もう少しマシな女の子になっていただろうに。

あぁ、勿体無い。


「…お前さァ、もうちょっと…女の子っぽく出来ないの?」

ジャムパンをモグモグ食べながら、神楽を横目でチラ見して言ってみた。
勿論、その期待は全くしていない。
きっと、『何言ってるアルか!私は今でも十分女の色気ムンムンアル!』とか言うに違いない。

そう、また溜め息をつくと。
神楽から返ってきた言葉は、予想外なものだった。



「…私、女の子らしくないアルか?」


ぼそりと呟くように放った声。
だがそんな小さな声を、俺は聞き逃さなかった。



「は?」

「いや…な、何でもないネ。」



予想とは少し違っていた返事に、俺は思わずとぼけた声を出した。

なんだ、今の。

…なんで、そんなしょげた顔してんの。
分からない。
何か、気に食わなかったのだろうか。


「私、これから行くとこアルネ。
ご馳走様アル。」


「…そうかい。
さっさと行けよ。」

ガチャンと少し重いドアを開け、神楽は俺の言う通り出て行った。

…やっぱり、何か、変。

いつもだったら。
俺に無理矢理追い出されて、しぶしぶ出て行っていたのに、今日は自分から去ってしまった。


何か、歯がゆい。





「…あー、明日には戻ってるだろ。」




うんうん、と誰も居ない空間で一人、頷いた。

「…ま、今みたいな調子で、昼休み押し掛けて来なくなる方が何十倍もいいけどな。」





そして、俺のその望み通り、神楽は昼休み姿を現す事は無くなった。







君がいないと



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