更新用ブック
□俺教師、君生徒。
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チャイムがぼんやりと頭に響いた。
普段ならその音は待ちわびるべき音なのだが、どうもそういう気になれない。
目の前には、銀と水色が見えた。
その2つの色が妙にキラキラしていた。
…いや、正しくは水色がキラキラしていた。
その水色は、進んで銀色と混じろうとする。
「(銀と水色って、混ぜたら何色アルかな。)」
何てぼんやり考える。
…きっと、綺麗なんだろうな。
「(じゃあ、)」
ふと考える。
「(銀と、赤、は?)」
きっと、歪な色なんだろうな。
「先生ぇー!!
受け取って下さいっ!
これ、私と先生の夢小説!」
「いるかあああぁぁ!!」
授業の終わりの合図と共に、さっちゃんは銀八に飛び付いた。
その二人は端から見たら実に奇妙なのだが、クラスの人たちはいつもの事なので放っておいている。
それと、銀八とさっちゃんは付き合っていると言う噂もあって、邪魔しちゃいけないという気遣いもあるのだろう。
「あら。
また猿飛さんと先生が一緒にいるわ。」
「あぁ、なんでも付き合っているらしいぞ。」
「まぁそうなの。
先生ったら、迷惑してると思ってたのにお芝居ですか。」
「いや、ただの噂だ。
本当かどうかは分からん。」
横で話す妙と九兵衛の会話が耳に入る。
「(多分、本当だ。)」
ここ最近、さっちゃんは授業が終わる度銀八に迫る。
銀八はいつものように嫌がるが、最近ではどこか受け入れているようだ。
私の入りこむ隙間なんてない。
神楽は「はァ」と溜め息をつき、泣きそうになった。