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ロリコンじゃないです、断じて(土方)
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「待てコラ総悟ぉぉおお!!!」





土方は、逃走する沖田に向けて怒りを露にした。


『ロリコンじゃないです、断じて(土方)』











ガララ、と山崎は屯所の部屋の戸を開ける。

「副長、チャイナさんの体調はどうですか?」


「…眠ったままだ。」


山崎の質問に、ムスッとした表情で土方は答える。

土方の目の前には、チャイナドレスがボロボロになった、チャイナさんこと神楽が眠っていた。
いや、正確には気絶していた。

「ったく、あの総悟の野郎…よくも面倒な事してくれたな。」

土方は、布団の上で気絶している神楽をジロリと見た。








時は3時間前に遡る。


「土方さん、コレ見て下せェ。」

と、土方と一緒に巡回していた沖田が、ふと背中に掛けていたバズーカを土方に見せた。

「あ?ただのバズーカじゃねェか。
って撃つ気無くてもコッチ向けんな。不安だから。」

土方は、いきなり見せられたバズーカに眉を寄せた。



「いやいや、コレはただのバズーカじゃねーんですよ。」
「は?どう見ても普通のバズーカだろ。」
「これだからマヨネーズで目を洗ってる人はいけねェや。」
「洗ってねーよ!!
何が違うってんだ。」
「試しに撃ってみます?」
「そう言ってなんで俺に向ける?」

土方は頭に筋を浮かせる。

「仕方ない…土方さんは度胸がねェですねィ。…あっ、あそこにちょうどいい的が。」
「まと?」


そう言った沖田の視線の先には、買い物帰りだと思われる神楽の姿。
大量の買い物袋で顔が埋もれているが、この歌舞伎町では見慣れないでチャイナ服と頭のお団子、不健康なぐらいの白い肌は、一目で神楽だと分かる。

土方は予想外の人物の登場に驚いたが、神楽は土方達には気付いていないようだ。
そして沖田は、まだ此方に気付いていない神楽に例のバズーカを向ける。
その沖田の顔は、黒い笑みで歪んでいた。



「あばよ、チャイナ。」

沖田は、呑気に鼻歌を歌う神楽にバズーカを向ける。
その時の沖田の脳内には、恐らく神楽の丸焼きしか描かれていない。
土方は加えていたタバコをポロっと落とした。

「ちょっちょっと待て総悟…!」

神楽はともかく、バズーカなんてくらったら、他の市民はただじゃ済まない。
土方は慌てて止めようとする。

「止めろ総悟!
チャイナはともかく、他の市民まで巻き添えにしたらどうする。」

という土方の注意を無視して、沖田は神楽目掛けてバズーカを撃った。


ドガーン




不意討ちという事もあってか、神楽は避ける間もなくバズーカの餌食となった。
バズーカの煙が流され、神楽の姿が露となる。
…悲惨だった。
神楽の白い肌には、うっすら血が滲んでいた。
真っ赤なチャイナドレスも所々焦げて、ボロボロになっている。
当の本人の神楽は、身に降りかかった爆発で、瞼を閉じて気絶していた。
遠くから見たら、死体のようにも見える。


固まる土方。
「ありゃりゃー、火薬強すぎたか。」と呑気に言う沖田。
横たわる神楽
集まる人々。


沖田は「急用思い出したんで行ってきやす。」と言って逃げていった。
今だ一筋の汗を垂らし、固まる土方。








「待てコラ総悟ぉぉおお!!!」

土方は、逃走する沖田に向けて怒りを露にした。

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