更新用ブック

ウチの子です。
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この子はウチの子です。
あげませんよ、絶対に。






『ウチの子です。』





銀時は、ムスッとしていた。
貧乏揺すりをしながら、着々と過ぎてゆく時間にイライラしていた。
時計を何度もチラ見するたび、更に眉間のシワは濃くなった。

「…遅い。
今何時だと思ってんだ…」

シンと静かな万事屋に、心無しかいつもより低い声が響いた。

夕方。
銀時は、一人で居間にいた。
いつも彼のそばにいる筈の神楽は、お昼に出て行ったっきり帰ってこない。
新八は、姉との買い物があるらしい。
まぁ、新八はともかく、神楽は駄目だ。
門限の6時はもう過ぎていた。
夕方と言うより、もう夜である。
「はぁ…」と銀時が溜め息をつくと、


ピンポーン


と万事屋のチャイムが部屋中に響いた。
銀時は、「(鍵掛けたっけか?)」と思いながら、すぐさま玄関に行く。
ガララ、と戸を勢い良く開けると、素早く怒鳴った。

「おいコラ神楽!
今何時だと思……っと、ヅラ?」

「ヅラじゃない桂だ。」

「何しに来た。
今俺は機嫌がわりーんだよぉ。
その長髪むしり取るぞ。」

「何を言っているたわけ者が。
それより、リーダーはいるか?」

桂の口から発せられた「リーダー」で、銀時はピクッと眉を反応させる。

「…神楽がどうかしたか?」

「いやなに、んまい棒を買いすぎてしまってな…リーダーに貰ってもらおうと来たのだが、不在ならば出直す。」

そう言って出て行こうとする桂の肩を、銀時はガシッと掴み、目の下の影を濃くさせて言った。

「何も直接渡すこたァーねぇだろ。
神楽が帰ってきたら俺が渡してやっから、んまい棒は置いてけ。」

そう銀時に強く言われた桂は、「…そうか?」と言い、んまい棒が大量に入った袋を銀時に渡して、万事屋から出て行った。

「チッ
何が買いすぎたから、だ。
ホントは神楽に買って来たんだろコノヤロー」

銀時は桂から渡されたんまい棒をおもむろに取り出し、片っ端からサクサク食べた。

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