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お年玉はキスでどうですか。
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それは、年明けの清々しい朝の事だった。

「銀ちゃん。」

「んー?」

「お年玉頂戴。」


お年玉はキスでどうですか。



いきなりの神楽の言葉に、銀時は眉を寄せる。
読んでいたジャンプから視線を逸らし、真剣に見つめる神楽を覗き見る。

「…お前、どこで覚えてきたそんな言葉。」

「姐御が言ってたヨ。
子供は年明けに大人からお金をせしめるって。
それがお年玉だって。」

「あのアマ!
子供になんて余計な事教えてんだ!
神楽ちゃん、あんなゴリラ女の言う事信じなくていいからね!
ていうか信じないで!!」

神楽の肩をガシッと掴み、懸命に訴える銀時。
神楽は、そんな銀時に呆れながら言った。

「…そんなに私にお年玉渡したくないアルか。」

「バカヤロー
テメーがガキって知ってる奴はもう立派な大人なんだよ。
だからお前にお年玉貰う権利は無い。」

と、銀時はもう一度視線をジャンプに戻す。
神楽は、銀時のツレない態度に不満げな顔をする。

「…なんだ、その顔は。」

神楽の表情に気付いた銀時は、眉を寄せて神楽に言う。

「…銀ちゃん、せこい。」

「うるせーコノヤロー!
大体お前の大食いのせいでウチがどれだけ金ねーと思ってんだ!!
お年玉なんて余裕ウチにはありまっせん!!」

「…私ここ最近ちくわしか食べてないアル」

「………」

「ついでに言うと、ここ半年以上お給料貰ってないアル。」

「……………」

「あと銀ちゃん、私の給料の酢昆布内緒で食べたでしょ」

「…え…っと…」

「あっそういえば銀ちゃん、昨日昼間コッソリパチンコ行ってたアルな。」

「…あ…あの…その…」

「パチンコやる金あって社員のお給料は無いって、凄く都合がいいネ銀ちゃん。」

「…か、神楽ちゃん…
ご…ごめ…」

「あっそうそう。確か昨日の晩…」
「すいまっせんしたァァァァァァ!!
神楽様、ホントもう許して下さい!
昨日は絶対勝てる気がしたんですよ!
神楽様のお給料を倍にしようと思ったんですよ!
そしたらアラ不思議負けちゃったんですよ!
そんで昼飯抜いて気がついたら酢昆布に手を出しちゃったんですよすいまっせんしたァァァ!!」


「うっさい」
「グフッ!!」

勢いよく謝る銀時に神楽は顔を歪めながらも、まぁとてもじゃないが彼がお年玉を渡せる状態でない事が分かった。

「(まったく、銀ちゃんはマダオアルな。)」

まぁ、ずっと前から分かっていた事なのだが。

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