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留学生の神楽ですヨ
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和(?)の匂いがする。



あぁ、私の憧れのニッポン。
世界で一番治安の良い国。

私の故郷とは大違い。


必死に勉強して、留学までしてきた甲斐があった。

しかし、この容姿を見られて馬鹿にされないだろうか。
いや、されたら倍返しにしてやろう。

かといっても、不安だ。

『留学生の神楽デス』



銀魂高校の国語準備室。
その部屋にただ一人いる坂田銀八は、イライラしていた。

…初の担任。
正直、かったるい。
普通に国語科の授業だけしていたかったのに、担任をやらされるなんて聞いてないぞ。

しかも、1‐Z組。
Z組といえば、奇人変人不良ばかり集まる大変なクラスだと聞く。

「(アレだな、あれ。)」

…校長の嫌がらせ。

ベテラン教師が任される筈のクラスが初担任の自分に任されるという事は、それ以外考えられない。

クソ、あのムツゴロウ星人めが。
後であのチャームポイントをむしり取ってくれようか。
そして定春にプレゼントしてやろうか。

銀八は、そんな事を黙々と考える。
すると、ドアがコンコンと鳴り、ガチャリと重い音を立てて開いた。

「失礼します。坂田先生、留学生の事なんですが…」


入ってきたのは、いつも校長に付き添ってる教頭だ。
少し困り気味な彼は、銀八に助けを求めるような視線を送った。

それと対象に苛立っていた銀八は、その教頭に冷たい視線を突き返す。

「…あぁ?
なんだ、あんたか。
留学生がなんだって?」

「おい、敬語はどうした敬語は。
ていうかワシだからどうしたっつうんだよ。
ワシだからって敬語使わなくて良いわけじゃないから。教頭だからね。

それよりも、今年担任のあんたのクラスの留学生!神楽って言う子が居なくなっちゃったんですよ!
入学式の代表で出て貰わなくちゃいけないのに…」

留学生、そう言えばそんな奴うちのクラスにいたな、と思い出す。

「…へぇー、大変ッスね。
頑張って下さい。」

「オメーが捜すんだよ。
そのモジャモジャ頭、かち割ってやろうか?」

教頭は、脅し口調で銀八に言った。
勿論そんな脅しに乗る銀八ではなかったが、一応自分も雇われている身だし、長い間担任になる自分の生徒な訳だから、放っておくわけにもいかない。

銀八は、しぶしぶ重い腰を上げた。


「…どっこいしょーいち。」

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