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こい鯉恋
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「銀ちゃん」

ジャンプに集中していた俺の脳は、ソプラノの声で乱された。

「あー?なんだ。」

神楽の方に顔を向けると、神楽は目を輝かせて言った。



「恋ってなに?」

「………は?」




こい



突然の神楽の言葉に、銀時は思わず間抜けな声を出す。
神楽から出た単語は、彼女にはあまりにも不似合いなもので、銀時を驚かせるには、十分なものだった。

「…何でそんな事聞くんだよ…」

頭に真っ先に出てきた謎を、神楽に問う。

「…何でって、ただ知りたいからネ。
いいから教えるヨロシ!」

神楽は、真剣な顔で銀時に迫る。
その顔は、何か理由があって聞いているようにしか見えなかった。

ハッキリ言って、自分はただれた恋愛しかした事が無い。
ドキドキ、キュンキュンな恋など銀時はしたことが無いし、どう答えたらいいのか迷ったが、この真剣な眼差しを無視しる訳にもいかないので、一般的な意見を言うことにした。

「えーと…気になる奴と一緒にいたり、考えたりすると……なんか、ドキドキしたり、顔が赤くなったりして、思春期の中2状態になる事だ。」

しどろもどろにそう説明すると、神楽は少し黙って、「ふーん…」と頷いた。

神楽は、銀時の答えに納得したらしく、そのまま何も言わず定春を連れて玄関へ向かった。

「行ってくるアルー」

ガララ、という音が耳に入った。
残された銀時は、タラリと汗を流す。

「(え?何ナニ?
…何でそんな事聞くんだ?)」

焦った。
自分でも分かる程、銀時は焦った。

「好きな奴でも…出来たのか…?」

脳に浮かんだ言葉を口に出す。
その言葉は、耳を通って脳に響いた。

「……ま…マジでか…」

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