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お兄さんと一緒
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銀ちゃん達が仕事でいない事をいい事に、この馬鹿兄貴は、何をするんだ。



「かぁぐらぁー」

「…………」

「ねぇ、神楽ってば。」

「………」

「おーい、神楽。」

「……」

「聞こえてるんだろ。
まだ怒ってるのかい?」

「…当たり前だろーガ、馬鹿兄貴。」

「ごめんネ、許してよ。
ほんの出来心だって。」

ニコニコの笑顔が、神楽の額に筋を浮かべた。



『お兄さんと一緒』



出来心で済むんだったら、警察はいらねーんだヨ。と、悪態をつく神楽の顔は真っ赤っか。

何故かと言うと、原因は目の前の男にある。
ニコニコ顔の、三つ編み長髪男によって。
それは、湯気煙る風呂での事だった。






ザッパーンと、小さな体が湯の中に埋もれていった。
神楽は、洗ったばかりの肌に、バシャバシャとお湯をかける。

『ふぅー!
気持ちいい湯アルなぁ。』

と、一息ついた時。

『神楽ー。
一緒に入ろうよ。』

予想もしなかった、兄の姿。
神楽は、突然の兄の登場に、目を丸くした。

『ぎゃああぁあぁ!!』

万事屋に、色気の無い叫び声が広まった。







「いいじゃないか、兄妹だし。」

「いつまでも妹と一緒に風呂入れると思うなヨ。」


神楽は、神威に冷ややかな視線をぶつける。
その神楽の視線に、冷たいなー、と呟く神威。

「昔はいつも一緒に入ったじゃん。」

「昔と今は違うアル。」

「……胸だけちょっとしか成長してないけどね。」


そう言って、神威はニコリと神楽に笑った。
え、と神楽は思わず兄を凝視する。
「まぁ、俺はあれくらいが一番好きだよ。」などと、アホ毛を揺らせている。

フツフツと、神楽の顔が赤くなっていく。


「も、もしかして、みたの…?」

「うん、見た。」


平然と語る兄に、一気にボッと顔が赤くなる。
みられた。
見られた。

実の、兄に…



「ばばばば馬鹿兄貴ぃぃぃぃぃ!!」





万事屋全体に、神楽の怒鳴り声が、響き渡った。





――――糸冬――――

 

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