更新用ブック
□終わった初恋
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好きだった。
アイツが、俺を。
「銀ちゃん好き。」
分かってる。
分かってるさ。
だから、お前にも分かって欲しいんだ。
終わった初恋
最近、神楽が、俺に近付かなくなった。
…まぁ、当然と言やぁ当然だ。
奴を近付けなくさせたのは、俺本人なんだから。
「銀ちゃん、おはよ。」
「おはようさん。」
軽く挨拶を済ませて、神楽は定春に乗って外に出掛ける。
これが、最近では当たり前になった。
それからの午前中は、神楽と顔を合わせる事は無い。
…昼飯はどこで食ってるのか、どこで遊んでいるのか。
ただ分かってるのは、持っていく酢昆布の量を倍にしたっていう事。
あと…関係無いだろうが、ノースリーブとスリットが深く入ったチャイナ服を、頻繁に着ていくようになった。
しかも、花の模様が入った物や、ウサギのロゴが入った物とか。
まぁ、その事に関しては、あまり気に止めていない。
昼飯を食わせるために、神楽を探しに行った事もあったが、結局は見つからず俺一人で帰っていた。
「今日も神楽ちゃんいないんですか?」
「あー?知らね」
「知らないじゃないですよ!
銀さん、神楽ちゃんに何かしたんじゃないですか?」
「………」
「…すいません、そこで黙られると、凄く不安になるんですけど…。」
何もしてねぇ、と言えば嘘になる。
神楽を傷付けたのは、間違い無く俺だから。