逃走中
□逃走中。T
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色とりどりの計45本の鎖。鎖の先には檻。檻の中にいる無表情でサングラスを掛けたスーツ姿の男。
鎖を見つめている彼等はこれから壮絶なゲームに巻き込まれていく。
逃走中。
「みなさーん、こんにちはー!!四天宝寺中男子テニス部部長にして学校新聞の天才作家の白石蔵之介です!本日は司会を勤めさせていただきます。よろしゅうなvV
んでこっちが司会補佐の小石でーす!」
「…よろしゅう。」
白石の声が高らかに響く。
白石の隣には不安げな表情の小石川。ここは四天宝寺中学校の体育館。
「白石のヤツ、自分で天才とかいうか……?
っちゅーか、“みなさん“って俺達(テニス部員)以外にも誰かおるんか?誰に挨拶してんねん。」
ステージの上にはマイクを片手に白石が謙也を指差しながら、
「当たり前やろ謙也!!俺が天才じゃなかったら誰が天才なんや!?あんまりうるさいとあん時の事、バラすで?」
「あ…あん時の事って……?」
「えー、言うてええんか?何週間か前になぁ、謙也が光のぬg…」
「やめてください白石様。」
「わかればええんや。」
何を言われるかはわかったもんじゃない!っちゅーかそれは二人の秘密って言ったやないか!
謙也は土下座で謝った。
「相変わらず謙也くんは蔵りんに弱いわねー★でもでも、土下座しとる謙也くんは小動物みたいで可愛ええわ♪ロックオーーーンvVvV」
「小春、浮気かあああああぁ!?死なすどおぉおぉぉぉぉ!!」
「さぁ、気を取り直して!(完全無視)本日の部活(ゲーム)内容を説明するで!今日はみんなに学校の敷地内を逃げ回ってもらう。基礎体力向上が目的や。」
「白石はん。」
石田銀が手を挙げた。
「何や?」
「“逃げる”とは何からや?」
「さっすが銀!察しが早いわ。
みんなにはコイツから逃げ回ってもらうで!」
白石がステージの上にある四角い箱らしきものに掛けられた黒い布を剥がしとった。
出てきたものは、サングラスを掛けたスーツ姿の男が入っている檻だった。男の耳元はピアスできらきら光っている。
「もしか………しなくても財前やんか!!」
謙也が檻を指差して叫んだ。
「今は“財前”ではなく“ハンター”や。」
「ハ………ハンター?」
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