LOVEorLIKE
□No.2 参戦
6ページ/9ページ
「真琴ちゃ〜ん!」
なんだ?
水の中で反響して、響く低音ボイス。
私は水の中から顔を出した。
「よう、お譲ちゃん。」
『忍足侑士…』
プールサイドまでやってきている忍足侑士。
こいつともまた縁が長い。
ここに入学してきて3年間、跡部のライバルを続けてきたんだ、もうテニス部レギュラーとは顔見知りなのである。
私はずっと立ち泳ぎしているのもなんなので、プールサイドに上がった。
「相変わらずの美脚さんやなw」
『出てけ、変態』
「冗談やて」忍足
私はビールチェアに座る。
今朝の私が残した水滴がまだ残っている。
ちょっと感触が気持ち悪い。
そこに置いておいたタオルにくるまると、深呼吸をした。
すると忍足が近づいて、しゃがんで私の顔を覗き込んだ。
「真琴ちゃん、跡部のこと嫌いすぎとちゃうん?」
『俺様なのが耐えられない。最初に宣戦布告してきたのあいつだし。』
「あれでも跡部のやつヘコんどんで?」
『嘘つきやがれ』
私はペシリと忍足の頭を叩く。
忍足は「うわーん、真琴ちゃんが俺のこと殴った〜」と言って泣き真似をした。
キモいな。
「今絶対キモいとか思ったやろ!」
『べっつに〜』
「まあええわ・・・。」
忍足は立ち上がると、出口へと歩いて行った。
私は無言でそれを見送る。
「一つ言っとくわ。」
『…何?』
「跡部が真琴ちゃんを副会長にした理由考えるんやな。」
『?』
忍足は最後にそれだけ言って、プールを後にした。
結局何をしに来たのだろう。