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□No.5 嫉妬
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『あー、良く寝た。』


「寝すぎだ。今何時だと思ってる。」


私は立ち上がり、伸びをする。
スカートに目をやると、それは見るも無残にしわがより、ひだが原形を留めていなかった。

そう言えば今何時何だろう。
私は時計に目をやる。


まだ起きて間もない私の眼は、長針と短針を見分けるのに時間がかかった。
次第に浮かび上がる二本の線。



『…え?8時!?』



私はショックを受ける。
部活が終わってからもう30分以上たっているではないか。
10分ほど寝るつもりが、軽く3時間寝てしまったのだ。

ヤバイ、さぼってしまった…
あー、明日理沙にどやされるな…

私はため息をつく。


『居たなら起こしてよ…』


「俺は爆睡している女を起こすほど暇じゃねえ。」


『そーですか。』


跡部はまだこちらに目を向けようともしない。
本当、何のためにあたしを副会長にしたんだ。
私はソファの近くに投げ捨てられた自分の鞄を手にとり、肩にかける。
金具の部分が冷えてしまっていて、腕に当たると冷たい。


私は扉へと足を運んだ。
まだ足がふらふらしている。


「お前がやったのか?」


私が生徒会室を去ろうとすると、不意に呼び止められた。
振り向くと、そこには机を指差す跡部のすがた。


“この書斎にあったたくさんの書類を片付けたのはお前か?”

と言いたいらしい。
略しすぎにも程がある。
めんどくさいから否定した。



『……違うよ。』



もし文句つけようとして言ってんなら、
文句つけられる前に可能性は排除しておかないとね。


「そうか…。」



案外そっけない答えに、ちょっと驚く。


「俺様のインサイトを舐めてんのか、アーン?」とか言うかと思ってたのに…。


  “♪〜”



『!』



そんな無駄なことを考えていると、ぴろり〜んと何とも緊張感のない音が響いた。
発信源は私のポケットの中。
目をやると、白いライトがちかちかと点滅している。
跡部が迷惑そうにこちらを見ている。
携帯を取り出し、サブディスプレイに目をやると、そこに映し出されたのは“宍戸亮”の文字だった。

 
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