ネームレス

□ツーマンセル
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木ノ葉の里、演習場近くのアパート。

窓もカーテンがかけられ、内部の様子を見たことのある人間はほとんどない。
外部からの干渉の一切を拒絶しているようなその一室は、辺りに住んでいる人でも持ち主の存在を疑うほどだ。
人の出入りなどほぼ無いので、近所の子供たちからお化け屋敷と恐れられている。

しかし実際はもちろん人が住んでいるし、人の出入りもちゃんとある。

お化け屋敷だなんて失敬な!



私は背中の大して重くない荷物を背負いなおし、鼻を鳴らす。
しかし、わたしの顔面についた鳥を模したお面が息をさえぎり、くぐもった音が耳に響くだけだった。



その"お化け屋敷"の持ち主は、ズバリ私。



仕事上の都合で、暫く里を離れていたのだ。
私の仕事と言うのは簡単に表わすと、忍。
木ノ葉の里を悪者をから守る正義の味方の仮面ヒーロー。
言いすぎた。
少なからずそのへんの忍よりかは悪者から里を守っている仮面ヒーロー、ぐらいが丁度よい。


里の人は忍の中でも特に私たちの様な忍を、暗殺戦術特殊部隊、略して「暗部」と呼ぶ。
暗部は一般の忍びより任務も多くこなさないといけないので、疲労感が募るばかりでかなり堪える。


今日も1ヶ月間の長期任務から帰ってきたばかりなのだ。


私はひさしぶりに踏む木ノ葉の土を靴底を通して感じながら、暫く里を離れているうちに流れた妙な噂に顔をしかめていた。(しかめても表情は見えないが。)
大人びた考えを持ってみたものの、私は身体的にも精神的にも(?)人の家を"お化け屋敷"だなんてよんでいる子供たちと大して変わらないだろう。


人生経験もまだまだ浅い私が大人びた考えを持ってしまうのも、きっと暗部と言う環境のせいだ。



暫く歩けば、そこには噂の"お化け屋敷"マイホーム。
皆まで言うな、私は結構根にもつタイプなのだ。
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