ネームレス
□暗部
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「無事に終わってよかった〜」
「まさか、あんなに金塊隠してるとはね…。」
任務開始から3日後、私とカカシさんは任務をこなした後の帰路についていた。
背負ったリュックに感じる、重み。
中には城の隠し倉庫にあった10kgの金の延べ棒と、雇い人に関する資料が入っているのだ。
この金塊は城にあったごく一部だが、最近に有名製金所で作られたもので、木の葉にもよく輸送護衛の任務が舞い込んでくる。
まさかその任務で運ばれた金塊がこんな事に使われているなんて、実際のCランク任務に就いた下忍、中忍には想像もできなかっただろう。
雇われた者達も、忍びではないがお尋ね者ばかり。今回の任務で、芋づる式に悪党どもが釣れたわけだ。
ラッキー。
先程まで森の木々を飛び交いながら進んでいたが、木の葉名物の一つ、「あ」「ん」の文字の特徴的な阿形門が見えてくれば、不思議なほどの安堵感。
私もカカシさんも、走るスピードを落とす。
3日間の任務はもちろんミスもなく終わった。
それと同時に、認めざるを得ないカカシさんの才能のおかげで今私は機嫌が良いのである。
私生活は置いておいて、流石は元上忍。
この判断が覆されることは無いと願いたい。
「隼は、よくこういう任務やるの?」
「うーん、まあ割とやるかな。なんで?」
「手際良かったからさ、慣れてるんだな〜と思って。」
すると、顔に掛けた面をすぐ外しにかかるカカシさん。そしてすぐに私がそれを止める。
任務中も何回カカシさんを止めたことか。
「誰も見てないからいいじゃん〜」とか、そういう問題じゃないっての!
ましてや里で面を外すとはどういうことだ。顔が見られると厄介だから面を付けているのに、この人はそれを理解しているんだろうか。
否、そもそも理解する気もないらしい。
私の必死の制止の甲斐あってか、カカシさんは面から手を離した。
こんな男でも、任務はこなすのだから扱いにくい。
勉強のできる不良と言ったところだ。我ながら良いたとえ。
「カカシさんも手際良かったじゃん。」
「光栄だね。あ、そうだ名前教えてよ。」
「いやだから無理だって、いい加減あきらめなよ。」
そして突然な男であった。