ネームレス
□新メンバー
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「任務の内容はさっきの通り。
カカシさんは既に暗部前から上忍として名が通っているから、カカシさんが隊長で私たち2人は中忍の部下という設定ね。
場所はここから半日掛るところにあるから、分かってると思うけど常に気は抜かないように。」
「了解ー。」
カカシさんのとぼけた声。
木の葉名物の「あん門」。
そこには白髪の男1名、茶髪短髪の男1名、そして私。
が、いづれも暗部服ではなく、一般の忍びの格好をして立っていた。
暗部なのに、面も暗部服も着ない任務など可笑しいと思うかもしれないが、それにはちゃんとした理由がある。
それは1時間前にさかのぼる。
***
「隼よ、小隊時の隊員は決めたのか?」
「はい、私とカカシさん、そして木遁のテンゾウを。」
「うむ、資料には目を通してあるようじゃな。」
休暇が終わったとたんだ。
昨日休暇最終日に分隊長に昇格し、早24時間経過。
私はさっそく火影室に呼び出されていた。
と言うことは早速任務なんて分かり切ったことだ。
刀の手入れだってしたいが、一週間では刀身を鍛えなおせるわけもなく。
これでは私の刀がかわいそう、などといつまでたっても消化されない任務にあたってみるが、やっぱり職業上しょうがないと無理やり納得。
火影様が言った。
「ではこれより任務を言い渡すため、メンバー2人を呼び寄せるが、今回の任務はちと特殊じゃ。」
私は"特殊"という言葉に敏感に反応したが、火影様は続けた。
「移動中の大名の娘の護衛として、情報をいくつか抜き取ったのち、大名の暗殺任務が入っているのじゃが。
ふむ、どうしたものか…」
「?」
火影様が口ごもる。
私が火影様の言葉を待っていると、背後の空気が動いた。
準備の早いことだ。
後ろをチラリと見やれば、そこには狗面のカカシさん、猫面のテンゾウ。
私の"部下"が跪いて待機していた。
「隊員が来た様じゃ、では任務を言い渡す。
お主ら第一小隊には、面を外し、中忍として任務について貰いたいのじゃ。」
私は目を見開く、暗部としての任務で面を外すなんて聞いたことが無かったからだ。
新人のテンゾウだって、先輩暗部からの入隊説明では、素性を明かすことはご法度だときつく言われているはずだから驚くに違いない。
現に私もカカシさんには、何度も面を外すことを止めている。
暗部は顔が割れれば、私生活まで危険にさらされることになるのに。
「畏れながら、面を外すとは一体…。」
すると火影様がバツが悪そうに口を開いた。
「今回はちと、"顔"を出さねばとてもではないが潜入は不可能なのじゃ。
…まあ、行けば分かるじゃろう。」
「は、はあ…」
「カカシは本名、隼とテンゾウはコードネームで呼び合うこと。
中期間なためこちらから強制した名は提示せん。
よいか。」
「「「「は。」」」
***