少女の最強伝説

□01.プロローグ
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「おい、こっち来いよ!」

「大丈夫?俺がついてるだろ?」

「泣くなよ…日本なんてそう遠くない。」


「日本で待ってる、お前もさっさと追いついて来いよ!!」




『やっと追いついたさ。』



がらがらと音を立てながら引きずられるトラベルバッグ。
大きく会社のロゴの入ったラケットバッグを背負い直し、久しぶりの日本の空気を私は味わっていた。

空港にはもうが手配済んでおり、外には車が待たせてあった。
海外から帰ってきたにしては小さい荷物をトランクに詰め込むと、自分も車の後部座席に乗り込む。
そして私は、あまり好きではない車特有の埃やガソリンの入り混じった香りなど気にならないくらいに、思いを巡らせた。


帰ってきた、日本に。

兄さんがいる、日本に。


私は、叔父の会社の関係とテニス留学、その他もろもろの事情により、アメリカへ出ていたのだ。

叔父と約束したのだ。
女子テニスシングルスJr.世界大会で3連勝を決めれば、日本に帰っていいと。
叔父は約束を守ってくれた。


兄さんは、先に男子テニスシングルJr.大会で3連勝を決めた。
今は消息すら掴めていないが、手紙ではうまくやっているらしい。


『日本で待ってる。かぁ・・・』


何とも兄さんらしい。
両親が死んでもう5年になる。
叔父は私に学校に行かせ、密度の高いテニス教育を受けさせてくれた。
もう親も同然である。

ただ、叔父は社長。
本社はアメリカ。

それでも私の夢、兄さんを追いかける道を、先に整えて背なかを押してくれた。
とても感謝している。
日本では一人暮らしになるが、住居と学校の方はもう手配してくれているそうだ。
何とも男子テニス部が強いとか。


名前は


氷帝学園。
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