少女の最強伝説

□02.気付かぬ出会い
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「着きましたよ」


「ああ…」


私は車の運転席からの突然の呼びかけに我に返った。
色々なことに思いを巡らしている内にどうやら新居に到着したようだった。

窓越しに外を見やれば、日本ではごく一般的であろう一軒家が前方に佇んでいる。

私はドアに手をかけ、車から出た。その少し後に運転手も車から降りると、トランクから荷物を下ろし始めた。
これから私が暮らすであろう家は、アメリカの一軒家と比べると大分こじんまりしていたが、人一人が暮らすには十分な大きさがあるように見えた。


「送ってくれてありがとう」


私は運転手の作業が終わったのを見計らって声をかけた。


「いえいえ」


運転手は笑顔で一礼すると、車に乗り込みバックを駆使してUターンし、もと来た道を帰って行った。
家の前には私と、下ろされた荷物だけとなった。

私は家の鍵がアメリカで叔父から直接もらっていたのを思い出し、ポケットからそれを取り出すと鍵穴にあてがう。
重たい手ごたえを感じ、ドアを引くとなんだか慣れない匂いがした。

中に入ると外の日差しに慣れたせいか室内が余計暗く感じてちかちか目眩が襲う。
目が慣れてくると、玄関脇にすでに送っておいた荷物一式がビニールに包まれて置いてあるのが見えた。
靴を脱いで玄関を上がると、後ろでガチャリと音が鳴る。どうやらこの家は自動ロックが付いているようだ。

そのほかにキッチンや洗面所を確認すると、一応最低限の家具電化製品が置いてあった。
ラケットバックをどさりと置くと、テレビも上に手紙が置いてあるのを見つけた。
開いてみると、やはり予想道理叔父からだった。



真琴へ

日本の空気にはもうなじめましたか?
日本に着いた日の午後6時から帰国枠のテストがあるから忘れず出席すること。
通帳はちゃんとしまっておくこと。
氷帝学園への地図は、冷蔵庫に貼ってある。
グリップやガットはそろえておいたから、しばらくはそれでがんばりなさい。
日本でもがんばりなさい、応援している。

p.s. テストはお前なら楽勝

叔父




「ふーん」


氷帝は交換留学生でもテストするのか。
叔父の話だと、この中途半端な時期に無理をいって入学させてもらっただとか。
だからなのか?だとすると科目は英語と数学か。
叔父の言う通り、この二つなら楽勝だ。
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