少女の最強伝説
□03.別れと始まり
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そして今、あれからさらに十分が経って…
今のゲームスコア、6−4。
ウォンバイ、ウチら。
結局あれから俺は怪しまれることなく、ドへたっぷりを演出してここまで来た。
ボールは最後まで亮にまかせちゃったな〜、なんて悪びれもなく心の中で思っちゃってたりする。
状況はと言うとちょっと疲れてるふうにするため、俺はコートに座り込んで俯いていた。
ちらりと亮の方の影に目をやると、平然と立っている。
流石テニス部。
いや、俺も実は疲れてないが。
「畜生、一人はど下手だったのに…、もう一人が強いとは…」
「別に強くもないくせに大口叩きやがって、あのチビ…」
ねぇ、知ってる?
それは、負け犬の遠吠えって言うんだよ?
ネットの向こう側で膝をついている奴らは、懲りていないのか悪態をついていた。
それでも男か情けないねー、俺なんて女だよ?
あれ、言っててへこんできた。
俺は最初にした約束を思い出す。
“…ウチ勝ったら、あんたらボコっていい?
ああ、いいぜ?でもそう言うんは勝ってから言いな…”
さてと。
俺は立ち上がり、ネットを跨いだ。