少女の最強伝説

□04.不満と挑戦
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日吉side〜




今日は朝連がオフだったから、結構遅めに学校に来た。
それはもう久しぶりのオフで、疲れがちょうどたまってた俺にとっては、
絶妙なタイミングで訪れたオフと言う事になる。
いつも通学時に通ってる道も、太陽の光を浴びて違ったふうに見えるもんだな。
だが、いつもと違うところが一つ。
ラケットバックを持った見知らぬ氷帝生徒がさ迷っていた。


おぼつかない歩きでそこら辺を行ったり来たり…


なんだ。
その氷帝生徒はとうとうその場にうずくまってしまった。
なんか同情を誘うのがウマいやつだな。


いつもの俺なら無視していたところだが…
いつの間にか話しかけていた。
俺も自分がとった行動に驚いてしまうぐらいに。



「なにしてるんだ、アンタ。」



『あ』



そいつと目が合う。
一瞬見惚れた。
人を美しいと感じた事は今まであったが、これほどまでに美しいと感じたことがあっただろうか?
バカ、相手は男だぞ。
俺は自分の顔が赤面していないか心配するだけで精いっぱいだった。

ラケットバック持ってるからテニス部か?
いや、テニス部だったら知ってるはずだ。
こんな跡部さんと並ぶくらいの容姿の持ち主なんて。
噂にならない筈がない。
そいつは顔をあげると、一瞬真顔になり、次の瞬間瞳を輝かせる。



本日二度目、“なんだ。”



そいつの目線は次第に上へ上へとずれていく。
そしてそれは俺の髪の毛で止まった。
大体こいつの考えてることが分かった。
初対面の奴はいつもこうだ。




「今失礼なこと考えてただろ、お前」



『…キノピオくん、サインいただけますか?』



「人の話聞けよお前、話しかけなきゃよかった。」




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