少女の最強伝説

□05.おれ様なに様
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コートに対峙する俺と日吉。
日吉は相変わらず俺を睨んでいる。
嫌われたのか?俺。
とりあえず、ネットに近付き握手をする。



「…」



目合わせてくんないんですけど(汗)
俺は気を取り直してラケットを差し出す。



『フィッチ』


「スムース」



俺の手によってまわされたラケットは、倒れてスムースを表した。




「サービス」


『コート』



サーブ権は日吉に、俺にはコート選択権が与えられた。
俺はとりあえずテキトーにコートを選び、ベースライン上に立った。


静かなグラウンド。
周りのギャラリーは、もともと応援に来ていた人たちと部員達で量はかなりのはずなのに、
咳払いひとつ聞こえない。


彼らは試合と言うより、俺の実力が知りたいらしい。


向こうのコートに俺と対象の位置に日吉が見える。
彼はボールをつき始めた。
俺はラケットを左手にかまえる。
緊迫する空間。
そう言えば日本に来て初めての真面目な試合だ。
不良の奴は遊びだったし。
何故かは知らないけど、俺にのしかかるプレッシャー。
両手足の重りが存在感を増した。
取るべきか、取らないべきか。
そんな迷いが心に残るうちに、日吉はボールを左手に収める。
そして高く高く、トスが上がった。



【パァン!】



センターぎりぎりに打ち込まれる日吉のサーブ。
返せない球じゃない。
俺はそのままセンターに打ち返した。
すると、昔見たような構えが目に入った。



『あれは…沖縄武術か。』


   「おおー!日吉の演武テニスだー!!!」




やたら盛り上がっているギャラリーは置いておくとして、
あの構えは確かティンぺーとかローチンの構えだったな。
スローモーションのように日吉の動きを擬視する。
グリップ、腰の位置、間違いない。
ティンぺーの構えだ。



【パァアアアン】



クロスに入り、ポイントが日吉の方に入る。



「ラブ‐15!」


『日吉お前、ティンぺー使いだったのか』


「行くぞ。」



サーブの構えをする日吉。
俺はまた即座にかまえた。



【パァン】



今度はサイドに打ち込まれる日吉のサーブ。
俺はそれも返した。


古武術。



日吉のは中国から琉球に行った型だな。
ティンぺー。
俺はティンぺーは使えない。
厄介だな






【パァアアアン】



「な…」吉




俺の打球は日吉のコートに刺る。



『古武術使いは、日吉だけじゃないよ?』



「さ、“サイ術”…」
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