少女の最強伝説
□08.新たな生活
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一瞬何が起きたか分からなかった。
周りの人もなんだかこちらをちらちら見ている。
それほどまでに大きな音だったのだ、亮の怒号は。
「…」
『…おはよ。』
<“おはよ”じゃねえよ!!!なんで部活こなかった!!!>
電話越しに伝わる怒り。
まあまあ、落ち着いて。←
リョーマはなんだか変なものを見るような眼で私を見る。
ってか私の携帯を見る。
私はそのまま歩きながら通話を続ける。
リョーマもなんとなくついてきた。
<電話替わった、跡部だ。
お前が横浜に居んのは分かってんだ。
そんなとこで部活サボって何やってやがる。>
さっきとは打って変って低く冷静な声になる。
跡部か。
『あー、うん…えーと。』
<何してたんだ。>
さっきより大きくなる声。
これくらいの声なら、リョーマにももちろん聞こえているだろう。
なんだか不思議な顔をしている。
『い、いやあ。ちょっと病院にね。』
<病院だと?またなんでだ。>
さらに掘り下げてくる跡部。
もうやめてよ、俺(こういうときは戻る)嘘つくの苦手なんだよね。
『いやね、さっき歩いてたら勝手に足がひん曲がってさー』
<…>
『…すいません嘘です。』
<いいか、お前が俺と互角なのは昨日の試合で部員全員が知ってる。
公式試合には出ないとしても、いい経験材料だ。
だからむやみに休むんじゃねえ、いいか?>
真剣な声が耳に響く。
『うん、ごめん。
でも毎週土曜はどうしてもだめなんだ。
普段の練習にはちゃんと出るから。』
暫く沈黙が続いた。
すると、ため息が聞こえてから跡部の声が響く。
<分かった。
でも次回休む時は連絡しろ、これでも心配してたんだ。
特に宍戸が。>
すると、電話の雑音の中に「別にそんなんじゃねーーー!」と言う声が聞こえた。
なんかホントの事は言わなかったけど。
流石に家庭教師とか、バイトの事は言っちゃ駄目でしょ。
身内でのバイト行為は許されるんだけどさ…
<まあいい、明日は個人練で基本オフだ。
じゃあな。>跡部
『うん、バイバイ。』
そして電話が切れた。