orphan*2=drug*(1/f*aube)=”緤”

□デスモゾーム
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ああこれは夢なのか?

だとしたらスゲー・・・。

幻想的現実。


ふわふわ。
ぐんにゃり。


夜に訪れる気紛れな白昼夢ってヤツ。
もしくはミッドナイトサン。
え?沈まぬ太陽?


北緯66.6度のダミアンって、キミだったんだ。

てか白夜って北半球じゃなくても見れるん、だ。


闇がトロリと柔らかくなる。
それは奇しくもメロの舐めるチョコレートの断面を連想させた。

コールタールのような闇に浮かぶのはレアなチーズケーキ的クリーミィムーン。
ホールサイズがぽっかり、窓から優しく覗いていたのを鮮明に覚えている。


んー・・・。
オーメンとアーメンって似てるよな。
悪魔と天使は元を辿れば同じだって知ってた?
って、あれ?

メロ。

泣いて、んの?

・・・イヤ。
泣いてんのは・・・俺?

それとも、アイツ?


メロと俺とアイツを乗せて。
―――同じ空間にいるようでいないトリックアート。
ジンタのリズムをベースにメリーゴーランドが回転し出した。
回る。
・・・回る。



歪んだ空間。
甘く近づくサイケな気配。
俺はゆっくりと白夜から覚醒した。

なんつう夢・・・。



理由?
そんなん・・・。

メロが俺のパーソナルエリアに入ってきたから。

イヤ逆かな。

メロがパーソナルエリアに、俺を入れた、から?


ねぇ、その個人認証の半径はホールケーキよりもデカい?
そのガードの甘さは、板チョコ何枚分?

たゆたう白夜の名残の中。
ふと。
手垢を、付けたくなった。


だってそりゃ。
覗き込まれたらそれ相応のリアクション起こさなきゃ、なんかヤじゃん。

腕を伸ばすと見えない羽根に触れ・・・た。



「メロ捕まえた」

「う・・・わ!」


白い首に腕を回しグイと引き寄せる。
軽っ!!

バランスを崩したメロが、俺の胸の上に降ってきた。
イヤ、舞い降りた。


「あはは、メロ降臨」

「お前っ!!
起きてたのかよ!」

「ん・・・寝てた」

「嘘つけ!」

「ホントだって。
半分寝てた。
てか、起こされた」


そんなペイズリー模様の痛々しい感情むき出しにされちゃ、イヤでも起きるっつの。


「そ・・・りゃ、悪かった。
帰る」

「帰るってどこに?」

「自分のベッドに、だ。
離せ。
どういうつもりだ」

「え?
ただの戯れだけど?」


俺は離すまいと、ギュウとメロを抱き締めた。
そう。
最初はただの悪戯心。


「ちょ、なんなんだよお前・・・」


月があんなに熟している。
俺も、満ちる・・・。
メロと触れている部分から、伝わる体温。
ああ。
ジンジンする。


「ねぇメロ、俺の心臓の音聞こえる?
俺、生きてる?」

ジタバタもがいてたメロが俺の上でハッと動きを止めた。
まん丸に見開かれる、ライトブルーの瞳。

「は?」

下から見上げるメロは月明かりに照らされ、マジでエンジェリックに見えた。
気が強い感、満載の。


「メロ。
俺、ちゃんと生きてる?」

再度、問う。
キミが見ている俺は、確かに俺?
俺が見ているキミは・・・。




「んなもん・・・
生きてるに決まってんじゃん、バカか」

「ちょ、痛だだだだ!!」

メロが思いっきり俺の頬をつねった。
ええぇ?
それはちょっと、予想外的展開・・・つか。
力加減に容赦がねぇ!


メロの声が細い光ファイバーのように降り注ぐ。

「お前・・・ホームシックか?」

頬をつねった形がはらはらと解かれ、まさかの展開第二楽章。
俺の頬はメロの温かい手のひらによって優しく包まれた。
流れ込む体温。

うわ、ちょ。
これって飴ムチ?
だとしたら相当な・・・

ハイクオリティカウンセラー。

跳ねた鼓動を悟られないように、俺はごまかしつつ応えた。

「あはは、シックになるようなホームなんてアリマセン」

「ああ、知ってる」

「なんだそれ!?
誘導尋問?」

「イヤ、お前の得意なネゴシエーション」

「ウソ、どの辺が!?」

「うるせぇな、みんな必死に生きてんだ、バーカ」

「バーカって・・・。
ガキ大将かよ」

「お前がな」

「イヤお前」

「イヤお前だ・・・」


一瞬の沈黙の後、俺達は顔を見合せて笑った。
こんなに心の底から笑ったのなんていつ振りだ?
全く・・・キミといると。



心が透ける。


「メロ、俺さ・・・」

「んだよ」














「友達を殺したんだ」


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