orphan*2=drug*(1/f*aube)=”緤”

□プログレス
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風に吹かれた砂埃が鬱陶しくて、顔が歪んだ。



なんとも晴天であるから遠くまで見渡せて視界は良好。



今日は毎年恒例である体育祭だ。
毎年、毎年、飽きもせず行われる祭りは、なんと最下位に最高の罰が与えられる。


だからこそ、全力で参加するわけだが。



何が悲しくて女装してチアリーディングなんてしなきゃいけない。

ここは一風も二風も変わった施設であるがゆえ、変装やら違う人物を演じたりする事がある。


その中でも一番やりたがらない「異性」を演じるのが罰だなんて、キルシュワイミーの頭の中は一体どうなってんだ。


完全にいかれてる。



健全であるスポーツマンシップはどこに行った。


どう考えても個人的な趣向がそうさせているように思える。



「めんどくせ……」


別に全力で挑まなくても、最下位になる奴は決まったようなもんだが。



ジリジリと照りつける炎天下でアキレス腱を伸ばしたり、首を傾けたりして軽く体をほぐしながらスタートラインに立つ。



するとなぜか、むずむずと負けず嫌いが顔を出す。


面倒だ、と言いつつも誰にも負けたくはない。



パンッ…!と乾いた音が鳴った瞬間、体はゴールへ向かって一直線に進んだ。


それを合図に応援が飛び交う。


無意識なのかなんなのか。頭の片隅でその中から1人の人物の声を探していた。




……が、聞こえない。


一番張り切ってギャーギャーわめきそうなアイツの声は聞こえてこなかった。


ゴールテープを切り、ゆっくりと足を止める。俺はあっけなく首位を奪ったようだった。すると次々にゴールした奴らが声をかけてくる。



「やっぱりメロは速いなー…」
「今年こそは負けないと思ったのに…」


そう言うなり、わらわらと次の種目に取りかかっていた。



つーか、順位なんてどうでもいい。

アイツどこ行きやがった……


俺の目はどこかで見てるであろう人物を必死に探していた。


まさか、見てないわけないよな。


キョロキョロと辺りを見渡しても、その姿は視界に入ってこない。



「次の種目始まるからメロも早く準備して!」


「チッ……」


なんだよ。
いないのかよ。


渋々準備にさしかかる。


競技が行われている場所へ移動しようとした時、木陰に似つかわしくない白と赤のコントラストが視界に入った。



「!」



なんだあいつら……

仲良さげにニアとマットは競技を観戦していたようだった。


……高みの見物ってやつか?


無性にイラつく。


「メロ!早く早く!」

「ちょっと待て」

「あっ…」


係のヤツを無視して、俺は2人のいる場所に向かった。






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