絳錆-akasabi-
□壱
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そう それは突然
本当に突然だった
いつも通り普通に家に向かっていた私は、うだるような暑さの中汗だくで歩いていた
剣道の道場から普通の住宅街の家に向かってテクテクと
「やばい、あつい…」
剣道着は汗を吸い込んでるしとても気持ち悪い。肩に担ぐ坊具は重いし、頭もくらくらしてくる
「やばいかも…」
なんだか視界がぼやけてる
本気でやばい、倒れそうだ
だがこの角を曲がればもう自宅についてしまうし、あとちょっとの我慢だと足に力を入れた
その時
「……あれ…」
足に力が入らない
―かくん
崩れた自分の体は段々地面に近づいていった
そして
私の意識は、唐突に闇へと引き込まれた
第一話
夕化粧 -ユウゲショウ-
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