(ほら、また歩き出す 完)

□僕らはまだ始まったばかり
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もうちょっと何かいいことがないかなとかもう思うのもイヤなので、決めました。

今日は自分のために使うって





「それはまーわかったとして」
「うん」
「なんで俺誘ったんだ?」


久しぶりの休みに買い物に出た。上司のリーバー班長を誘って。
「まぁ、久しぶりの休みだし。町に出るのもいいな」とか言ってたくせに、あまり乗り気じゃなかったようだ


「え?だって休みだって聞いたんで」
「そうだけどさ」
「どうしたんですか?」
「や、女の子の買い物ってよくわかんねーなと」
「今買い物してるの班長だよ?」
「や、そうなんだけど。だけど何か悪いな」


一緒に入った本屋で班長のスイッチが入ってしまったらしい
自分の買い物を終え、班長を探しに行くと班長は専門書のコーナーで楽しそうに本を漁っていた。
声をかけて、本を選ぶ班長の横にたつ私に班長は気を使って話しかけてくれる
ほんとは本に集中したいだろうに。私も他に何か漁りに行ってこようかな?
その方が班長も本に集中できるだろうし


「悪いな」
「え?」
「リナリーとか女の子誘って買い物来た方が楽しかっただろ?」
「男を連れて歩いた方が何かと便利なんだよ?」
「うーわ、無邪気そうな声色で、そんな怖いこといわないで下さい」
「はは、でもまぁそう言いうし」
「余計な男避けになるし、財布にも荷物持ちにもなるし?」
「そんなこと言ってません。ってゆか、すごいネガティブ...いや、なんかかわいそうな人生みたいなこと言いますね?経験談?」
「そんなわけあるか」
「そうですよね?はは。ごめんなさい」


何だか離れるチャンスを失った気がする。
あーもう、違う。多分ただ隣にいたいだけだ。


「お待たせ、悪かったな」

ほんとは何10冊も欲しかった本をようやく3冊にまで絞り込んだ班長は私に満足そうに笑った
とりあえずお茶でもしようという話になりぶらぶらとお店を探しながら並んで歩く。


「よく町に出てるのか?」
「いえー、何かストレスたまっり大きな仕事終わって時間出来た時だけ」
「今日はどっち?」
「どっちでもありません」
「え?」
「今日はただのデートです。」

そう言って笑うと、班長は少し笑っていて、あーもうほんとはずっと見透かされてたんだと思った。


「知ってたでしょ?」
「何が?」
「いえ、」
「今日はただのデートね」
「なんですかー」
「や、別に」
「それに今日は、毎日頑張るあたしの為にある日なの!」
「お姫様の日?」


「よく分かりましたね」とにやりと笑うと、班長は満足したといった顔で少し笑う


「ちやほやしろと?」
「王子様の日でもありますよ。」


「はは、負けるよ」と班長は笑うと
「じゃ、エスコートしないとな」と言って私に手を差し出した。




僕らはまだ始まったばかり






















はい、バカップル。


































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