01/14の日記

12:39
小話?
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↓は某7血サイト様が初代×フレディを描いていらっしゃったのにキョアアアアオとなって書き散らした初代様とフレディの小話…です。

1日クオリティなので文が変…そして相変わらずくそ長いです><


せっかくなのでここに載せます!
でやっ





フレディは猫のように音もなく忍び寄ると、前方の曲がり角に消えた明るいハニーブラウンを追った。

時刻は午前零時。

ちょうど冥使の活動が活発化する時間帯だ。
だから、少女がこんな時間に外をうろうろしていたって何ら不思議ではない。


(……問題は、姉ちゃんが何故、人気のない場所をあえて選んでいるのか)


最近、レナは時々ふらりといなくなることが多くなっていた。
最初の内は慣れない土地で迷子にでもなったのだろうと思っていたが、よくよくレナに聞いてみると、「皆から離れた覚えはない」という。
この返答には、流石のアーウィンも絶句してしまった。

つまりレナは、無意識の内にいなくなり、無意識の内にまた帰って来る…といった奇行を繰り返していたのである。
まるで夢遊病者のように。

アーウィンがどんなに警戒していても、気が付くとレナはするりといなくなってしまう。
帰って来たレナを叱っても、当の本人は何も覚えていないのだから、ますます周りを当惑させるだけだった。
そして不思議と、夢遊病中のレナを目撃する者は1人もいないのである。


(……影を屈服仕切れてなかった、っていうオチじゃなきゃ良いんだけど……)


レナが央魔として覚醒した今、有り得ないことではあるが。
何より、フレディ自身がレナが央魔たる生きた証拠と言えた。

フレディは辺りを警戒しながら、そっと曲がり角を覗き込む。
レナはいた。
細い両手を目一杯広げ、冬の美しい星空を全身で見上げている。

声をかけるべきか、迷う。
第一今のレナに、自分の呼びかけが届くかどうかも疑問だった。






「フレッド」






どきりとフレディの心臓が跳ねる。
静寂を破ったのはレナだった。

いつの間にか、こちらを振り返っている。
自分を付けて来たフレディに怒る様子もなく、いつものように花のような笑顔を振り撒いていた。


「おいで、こっちに来て一緒に見ましょう!とっても綺麗な星空なの」


迷う。
しかし結局レナの屈託のない笑顔に観念して、フレディは苦笑混じりに少女の方へと歩いて行った。


「ね、凄いでしょ?」

「…本当だ、すごい」


フレディの服の裾を嬉しそうに掴むと、レナは子供のようにはしゃいだ。
実際、確かに凄かった。
普段空なんて見上げる習慣のないフレディは、暫しその光の渦に圧倒される。
年相応の子供らしく目を瞬かせたフレディを見て、レナも顔を綻ばせた。


「あれが冬の大三角形」

「えっ、どれ?」

「ほら、あの大きな3つの星。赤いのはシリウスっていうのよ」


レナは星に詳しかった。
レナが空を指しながら星座の名前を次々に上げていく度、フレディはへぇ、とかわぁ、とか感嘆の声を上げる。


「……それでね、あれが……」

「姉ちゃん」


レナが、フレディを見た。
急に神妙な顔付きになったフレディを、不思議そうに見つめる。
フレディもレナを真っ直ぐに見つめながら、戸惑いがちに口を開く。


「姉ちゃん……じゃないよね。貴方は誰?」

「……………フレ、」

「姉ちゃんは俺のこと、“フレッド”って呼ばない」


レナが1つ、ぱちりと瞬きした。
そして、観念したように笑う。


「……あぁ、そうか。アーウィンが僕のことを“フレッド”って呼んでいたから、ついそう呼んでしまったよ」

「……フレッド……?」

「レナは君のことを、何と呼んでいるのかな」


レナの表情の変化に、フレディは少しの間言葉を失った。
レナは絶えず、微笑んでいる。
しかしそれは少女の可憐な笑顔ではなく、例えて言うなら、父親が我が子に向けるような眼差しだった。


「………フレディ、と」


漸く、そう絞り出す。


「…なるほど。では僕も彼女に倣って、君のことはフレディと呼ぼう。初めましてフレディ!素敵な月夜だね」


そう言って笑うと、レナは茶目っ気たっぷりにゆったりとお辞儀した。
フレディはぽかんとそれを見つめる。


「僕の名前はフレデリック・オーゼンナート。……初代、と付けた方が、君には分かりやすいかな?」

「……えっ!?」


フレディの驚いた顔に、初代は嬉しそうに破顔した。


「……正確には、レナの中に僅かに残った、記憶のゴミみたいなものだけど」

「あ、貴方が初代様?ほ、本物!?本当に!?」


初代は笑顔で頷く。
フレディは勢いよくばっ と右手を前に突き出すと、きょとんとした少女に向かって思わず叫んだ。


「ッ大ファンです!!握手して下さい!!」


一拍置いてから彼女が盛大に吹き出したのは、言うまでもない。



* * * *



「じゃあ、姉ちゃんが最近どこかにいなくなってるのは、初代様と意識が入れ代わってるからなんですか?」


初代様、と呼ばれる度に、少女はくすぐったそうに笑う。
今2人は人気のない場所をぶらぶら歩きながら、夜の散歩を楽しんでいた。


「そうだよ。この村は僕と縁が深いから、魂が呼び起こされやすいんだろう」

「でも、皆の前からいなくなることないのに」

「レナの中に僕の意識が残ってるなんて、出来ることなら誰にも知られない方が良い。……ほら、ちょっと君と話しただけで、簡単にばれてしまった訳だし」


懐かしい村の中を1人でぶらぶらするのは、中々楽しかったよ と初代フレデリックは朗らかに笑った。
フレディは何となく、切ない気持ちになる。


「兄ちゃんには、初代様のこと……」

「言うつもりはない」


きっぱりとした口調だ。
それなのに少女の顔は、清々しい笑顔に満ちている。


「漸く前を向いて歩こうとしてるアーウィンの邪魔は、したくないんだ。僕はもうこれ以上、彼を振り回したくない」

「………そうですか」


言えば良いのに、という気持ちと、一理ある、という気持ちとが、フレディの中で攻めぎ合う。
今ここに初代がいるということは、まだ2人の縁は切れていないということだ。
縁あるならば、縁ある内に会って話せば良いのにと思う。
けれどフレディがどう思おうが、これは2人の問題だ。


「……初代様が後悔しないやり方が、一番だと思います」

「……君は優しいね」


少女の小さな手が、フレディの頭を撫でた。
フレディは小さく目を見開く。


「でも、もっと子供らしくしても良いんだよ」


フレディは弾かれたように少女を見上げた。
レナは、にっこりと笑っている。


「………俺、初代様の再来だって言われてるんです」

「君が?僕の?」

「……はい、でも俺、全然そんな凄くないし…」


少女は急に真面目な顔になると、まじまじとフレディを見つめた。
そして、ふぅ と呆れたように短い溜息を吐く。



「それは失礼極まりないね」



さっきまで笑っていた少女の声とは思えない。
冷めた言い方だ。
フレディの背筋がゾッと寒くなる。


「君が?僕の?…村の人達は一体何を見てるんだか…」

「ッご、ごめんなさい、俺…怒らせるつもりは…」


おろおろと言葉を紡ぐフレディの肩を、少女はがしりと掴む。
フレディは思わずびくりと目をつぶった。
少女は構わず、叫ぶ。



「違うフレディ、君は僕なんかよりずっとずっと凄い人なんだ!!」



予想とは真反対の言葉に、フレディは思わず顔を上げた。


「………え………?」

「僕の再来?とんでもない!君は、もっともーっと凄いんだ!!僕より凄いんだ!!君、本当に、分かってる?」


何故か少し怒っている少女に圧倒されて、フレディは何も言えなくなる。


「……えっ……と……」

「……村の人達は、僕を神聖視し過ぎなんだ。大したことないよ。冥使を1日で百体倒したくらいで大騒ぎするんだもの」


いや、それは…大したことなんじゃないだろうか。とフレディは内心で突っ込んだ。
村に伝わる初代の伝説は多い。
1日で百体の冥使を倒したとか、冥使を仲間に引き入れて一緒に戦ったとか、内容が内容なのでほとんどが脚色されていると思っていたが……


「え。っていうかその伝説、本当だったんだ……」

「とにかく僕は殺すことしか出来ないんだ。ほとんど無能だよ」


いやそんなことはないだろう。と再びフレディが突っ込んでいると、初代は静かに言葉を続ける。


「……もし僕が君だったなら、レナもアーウィンもこの世にいない」

「……………」

「ね?君は凄い人なんだよ」


少女はフレディを、強く抱きしめた。


「僕の名前になんて振り回されなくて良いんだ」

「…………、」

「君はフレディ、僕はフレッド。名前は同じかもしれないけど、別々の人間なんだから」


成人したら、いっそ改名しちゃえば良いんだと大まじめに語り出した初代に、フレディは声を上げて笑った。





力尽きたのでここで終わりー!

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