カウンセリングとは、「相談」と同じ意味であるように思われがちですが、少し意味合いが違います。

その違いというのは「専門性」の違いです。

「専門性」とは、内容や相談の仕方ではなく、クライアント(依頼人)とカウンセラーが、カウンセリング以外の人間関係をもたないという意味です。

カウンセリング以外の人間関係が既に構築されている場合、どうしても内容以外の情報(例えば、仕事上の人間関係で悩んでいるクライアントからの相談を受けたとして、そのクライアントとカウンセラーが知り合いであった場合、「あなたは元々こういうタイプの人だから」といったような固定観念をもってお互いが接する事になりかねません。

カウンセラーとは心の働きを学んだ者ですが、カウンセラーも人である以上、問題点以外のクライアントの情報を持っていると、本来取るべき解決方法が見えなくなる可能性があるからです。

また、クライアント側にしても、日常を知る間柄の相手の前では、例え相手がカウンセラーという専門的役割の人間であったとしても、「心の内側を話すのは恥ずかしい」「知られたくない」という意識が先に立ってしまいがちです。
「相手に知られると、そこから先が接しにくい」と感じると、心に壁ができてしまいます。
その状態で行うものはカウンセリングではなく「身の上相談」となってしまうでしょう。

人は生きていく中で、様々なストレス・悩みを抱え、自身で認識している解決方法、発散、消化を繰り返しています。
その中でも、問題が深く大きすぎた時、自身では解決できなくなる事があります。

家族や友人にも話しにくい、また、話しても理解してもらえない、話すことで自分を誤解されやしないか?という不安から、人は独りで悩み、苦しみ、時には死をも選択する事もあります。

カウンセリングとは、その苦しみを救い、問題を乗り越えたことで、更にクライアント自身を成長させるためのものです。

そのためには、カウンセラーはクライアントの余分な情報はもたず、問題点のみと向き合う必要があります。

また、カウンセリングはコンサルティングと混同されがちですが、コンサルタント(コンサルティングを行う人)は、専門知識をもって、現状の認識、問題の提起、原因の分析、対策案の提起、その成果を出す責務を負っています。
カウンセラーと異なる点は、問題解決の答えをクライアントに与える点です。

カウンセラーは「ここをこうしなさい」と答えを与えることはしません。
クライアント自身が「ここをこう変えよう」と心の回復方法に気付くよう、対話をするものです。

カウンセラーは「指導者」ではなく「支援者」といえるでしょう。

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