白く輝く美しい毛並みと
聖なる力を秘めた強靭な角
それは、汚れた者を一切近寄らせぬ神聖な存在
これに触れたなら、それ則ち、死を覚悟すること
しかし…、
美しい心を持つ清らかな者は
この限りではない…
魔封剣
-Unicorn-
私に触れるな!
汚らわしい人間ども!!
ァアア゙ッァァアアア゙ア゙ッッ----ッ-!!!
「また…失敗か……」
「ユニコーンのエネルギーを注入した者は皆、拒絶反応でショック死しています。
シド博士、この幻獣はリスクが高いのでは…?」
「ふーむ…清い心の持ち主しか受け入れぬユニコーンか…。」
「拒絶反応ねぇ〜…。
それは逆ですねぇ。ユニコーンが拒絶しているのでしょう。」
「ケフカ…。」
「フッフッフ、お困りですか?シド博士。」
「…何の用だ、ケフカ。」
「この幻獣は非常にデリケートなようです。
昏睡状態でもなお、エネルギーを奪われまいとその者の意識を破壊しようとしているのですよ。」
この者、…一体…
「そんな事は分かっておる!
ただ、それに耐え切れる者がおらんのだ。」
「それはそうでしょう。
注入対象が簡単に壊れてしまう人形(人間)ではねぇ。
いくらやっても無駄ですよ?フフフ。」
何か危険な気配が、する…
「何が言いたいのだ。
まるで他に策があるような物言いだな。」
「えぇ…そうですねぇ…」
何を考えている……
「人間がダメなら……
…ニヤッ」
…何を…ッ……――
―――
――
―
『人は、悲しい生き物よ。
私は、あの世界に人間の底知れぬ邪心を見た気がしました。
人の心ほど恐ろしいものはない。
けれど、……』
マドリーヌよ、君が言っていた事は本当だった。
人間という生き物は恐ろしい。
破壊…、争い…、支配……
醜い感情が渦巻いている人間たちを、私の全身が拒絶する。
ここには、君のような美しい心の持ち主はいないのだろうか…
もう、望みはどこにもないのだろうか…
力を奪われ続け、いよいよそう諦めかけた時……
「シド博士…、この剣は…?」
「"魔封剣"だ。
あらゆる力を吸収し、自分のエネルギーに還られる。
セリス、君が持ちなさい。」
「え、私が…?
……不思議。何だか温かく感じるわ。」
「……(きっと、君しか受け入れぬだろう…)」
あぁ…
まだ、いたのだな…
マドリーヌ、君のような清らかな人間が。
信じて、いいのだろうか…?この者を…
私たちの望みを託して…いいのだろうか…?
『けれど…、
中には、本当に心の綺麗な人もいるって事…
忘れないでください…』
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どうか信じる勇気を
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≫あとがき
昨年の巳年・ミドガルズオルムさんに続き、今年は午年ということで、ユニコーンさんでした。
本編前の、ガストラに捕まり魔導研究所でエネルギーを奪われているところです。
魔封剣が作られた経緯をベースに、ユニコーンさんの人間に対する心境の変化を書き上げました。
魔封剣の『攻撃の無効化・吸収し、自分のMPの回復』という効果は、攻撃を軽減できるプロテスやシェル、魔法効果を打ち消すデスペルなどと近いものがあるなぁと思い、魔封剣はユニコーンさんから抽出したということにしてしまいました!(笑)
ギリシャ神話でのユニコーンは、心の綺麗な乙女にしか心を許さず、それ以外の者には獰猛な性格なのだそう。
ということで、(乙女な)セリスしか扱えないのです!
ご愛読ありがとうございました。
(2014/1/3)