カンカンカンッ
ガタンゴトン
シュ-----ッ
その工場は、様々な機械音が鳴り響いて常に騒がしい。
ベルトコンベアが流れる音。
クレーンが縦横無尽に動く音。
トロッコがレールの上を走る音。
それから、
水の音
その工場の更に奥。
長い階段を登った先は、ごく限られた人間しか立ち入ることが許されない、ある研究所。
少し冷気を帯びた広い空間は、青白い光を放っている。
入れば、長い通路の両脇に並ぶ巨大な水槽が目に入るだろう。
その中には、無数の管で繋がれた異世界で生きるとされている者の姿が。
聞こえるのは、あの水の音。
一定の間隔で発する気泡は、まるで呼吸しているかのよう。
いや、これは確かに呼吸している音だ。
なぜなら、“彼ら”は眠らされているだけなのだから。
ブク…
ブク…
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研究員たちは思う
我らがしていることは驚異だと
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≫あとがき
魔導研究所の雰囲気。
機械音が鳴り響く中、似つかわしくないこの水の音は彼らが生きている証なのです。
ご愛読ありがとうございました。
(2009/1/17)