国王失格だな……
目を覚ました時、一番に頭に浮かんだのは、
マッシュやロック、仲間たちだった。
それこそ、国民や神官たち、フィガロ城でもなく…。
一国の王として、あるまじき事だろう。
しかし、俺は一人の人間―仲間―として、そう思ったんだ。
それじゃあ、いざ、仲間探しだ!
…と、いうことにはならなかった。
動き出した時にはすでに心は決まっていて、気付けばフィガロ城へと向かっていた。
真っ先に頭に浮かんだのは仲間たちなのに、次の瞬間には城に向かっている自分がいる。
…なんと矛盾したことだ。
だが、これでいい。
国を蔑ろにしてまで皆を探しに行けば、きっとマッシュあたりに怒鳴られるだろう。
「こんなところで何してる!!」ってな。
そうだ。私には国王としての責務がある。
仲間たちのことはあいつに任せておけばいい……
One Year
-for Edgar-
さて…。城へ戻ろうとは言うものの。
ここはニケアの町か。
地形が大分変わってしまったらしいな。
フィガロ城までどう行けばいいだろうか……
「なぁ。フィガロ城は今、地中で身動きがとれないらしいぜ。
機械の故障だとよ。」
「おお!それじゃあ、俺達の宝を取り戻すチャンスだ!
脱獄してきた大ミミズの巣からまた行こうぜ!」
「秘密の洞窟から行けば侵入はたやすいしな。」
「だが、誰が指揮をとる?連携できないと城内の警備を破るのは難しい。
それに、フィガロ城内の地図はボスが持っていた。」
「俺らのボスはあの天変地異に巻き込まれちまったからなぁ…。
地図がなけりゃ、厳しいぜ。」
……こいつら、盗賊か?
フィガロ城に詳しいな。
いつの賊だか覚えていないが、城に侵入した前科があるようだ。
それより気になったのは…
『秘密の洞窟』
どうやら、私には幸運の女神が味方してくれているらしい。
「君たち!話は聞かせてもらった。
その秘密の洞窟とやらに案内してくれないか。」
「なっ!?何だテメェ!」
「勝手に俺らの話を盗み聞きとは、いい度胸だな!」
「表に出ろ!!」
ふぅ〜、やれやれ。
これだから野蛮な男は嫌だ。
聞く耳もない、品のかけらもない…。
それに、盗み聞きとは心外だ。
君たちの声が大きいのではないか。
「いやいや、怪しい者ではない。
君たちのボスをちょっと知っているくらいだ。
フィガロ城の倉庫への道を聞いている。」
「ボスを!?」
「倉庫への道!?」
「ああ。君たちがフィガロ城まで案内してくれるなら、宝のある倉庫への道を教えよう。
そうそう。これは君たちのボスから預かった、(本当はフィガロ家の)城内地図だ。
私が代わりに導いてやってほしいとのことさ!」
「ボ、ボス…ッ!」
「最後まで俺らのことを思って…ッ!グスッ」
「あんた、ボスの代わりにボスになってくれんのか!?」
「約束しよう!私は君たちを裏切らない。
必ずや宝を手に入れさせると!
そう!君たちのボスに誓ってな!!(キラーン+)」
「ぉお〜!!」
「俺らの新しいボスだ!!」
「ついていきます!ボス!!」
ウオーーーッッ!!!!
本当なら、ここは黄色い声が欲しいとこなんだが…。
私の女性専用口説きテクニックが、こんなところで役に立つとは。
しかも、男に…。
「そうだ!あんた、名前はなんていうんだ?」
「…名前?
俺の名は……
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荒くれ者のジェフって名さ
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