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□One Year -for Setzer-
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俺の夢が、壊れちまった。



仲間たちが次々飛ばされていく中、それでも俺は船にしがみついていた。

だが、ティナを助けに舵から手を離したあの瞬間に、俺の夢は終わったんだ…


「ブラック・ジャック……」


墜落後、俺は重い体を引きずって船内を調べてみたがダメだった。

機体は真っ二つ。
修理のしようがないほど、めちゃくちゃだった。


「お手上げか…」


翼は…もう、ない……















One Year
-for Setzer-
















体も動かねぇし…
俺もこのまま、ブラック・ジャックと共に……










「わぁ〜!おっきな船だぁ!」


……?


「何だ、お前は。どこの街のガキだ。」

「むっ!ガキじゃない!名前はラドリー!もう10歳だ!」


絵かきのオジョーちゃんと同じくらいか…。
…男の子、か…?
目深に被っている帽子でよく見えねぇ。
それとも、血を流しすぎたのか、眼が霞む…。
あーくそ。


「はいはい、分かったから。
ここは危ねぇからお家に帰んな、ボウズ。」

「ボウズじゃないっ…!?
ぁ、…おじさん、血が出てる。怪我してるの?」

「ぉ!?おじさんじゃねぇ!
…こんなの大したことねぇから、あっち行きな。」


そうだ、こんなの大したことない…
ブラック・ジャックを失ったことに比べれば…っ!


「あたし、いいもの持ってるよ!
ほら!傷口によく効く塗り薬。おじさん、傷みせて!」


なんだ…ボウズかと思ったら、オジョーちゃんか………ん?


「だから、おじさんじゃねーって!」

「わぁ〜!よく見たらおじさんの顔、傷跡がいっぱい!
手も!あーこっちにも!」

「…なっ!?いつの間に!いいって、自分でやっから!」

「ムリしちゃってー。本当は動けないくせに〜?」

「…ぅぐ!」


…なんだ、こいつ


「ほらほら、動かないで!血、拭き取るから。」


『ほら、動くんじゃないよ。』


全く知らない子なのに、懐かしさを感じる…?


「じゃ、おでこ塗るよ。」

「…ッ。」


手…、冷てぇな…


「ん?しみた?」

「あ、いや。平気だ。」

「もー。おじさん、元々傷だらけなのに、どんだけ傷つくれば気が済むの?」


『あんたはあといくつ傷つくれば気が済むんだよ。』


お前、……誰だ


「はい、完了〜っと。
でも、応急処置だから、ちゃんとお医者さんに診てもらいなよ?
近くにジドールって街があるからさ!」

「ポーションとか持ってないのかい?
何の薬だ、これ。」

「……ユキノシタっていう、…生薬だよ。」


『これはユキノシタという生薬さ。』


………え?


「なぁ、オジョーちゃん。君は、…何者だい?」



「クスクス。ラドリーって、言ったでしょ?」

「いや、そーじゃなくて…!」

「あ!あたし、そろそろ帰らなきゃ!
その薬、おじさんにあげる!」

「ちょっ、…イテッ!」

「青白い顔してんだから、ムリしないでね〜!ばいばーい!」

「お、おい…!」















本当…相変わらず、青白い顔してんだから…


あとは、自力で気付いてよね


まだ、もう一つ"翼"があること……










Radly



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 d
    l
   y


Daryl








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まだ…夢を見られる…?

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