Y

□One Year -for Relm-
1ページ/2ページ


「リルムや、少しは休んだらどうかね?朝からずっとアトリエに篭りっきりじゃないか。」

「平気よ、アウザーさん。私が描きたいの。
早くこの絵を完成させるわ。アウザーさんのためにね!」

「それは嬉しいが、あまり無理しないようにな。君はもう私の家族も同然なんだ。」

「ありがとう。
あの時、アウザーさんに出会って本当に良かったわ!」



それはこっちのセリフだよ…
あの時……















One Year
-for Relm-
















「まぁ!なんて上手なのかしら。」

「ほう、こんな小さいのに大したもんだな!」

「お嬢ちゃん、今度は私を描いてくれる?」



おや?一体なんの騒ぎかな…?



「お安い御用!一人1000ギルだよ。」










「何をしているんだい?」

「あら、アウザーさん。ごきげんよう。
最近、遠い村からやって来たという、絵描きさんがいてね。」

「まだ10歳なのに、これがすごく上手いんだ。
絵画コレクターのアウザーさんも見てみるといい。」

「ほう。子供の絵描きか…それは興味深い。」



そう言われて、人垣の中をそっと覗いてみた



…瞬間、…時が、…止まった



それは、彼女の絵を描く姿があまりにも神秘的だったから。

小柄な背丈に、丸い輪郭。筆を持つ手もまだ小さく、どう見ても子供なのに…



――眼だけは違った



対象物の奥底を見透かしたような視線が。
まるで心まで描き写しているようだ。

子供だと聞いて、侮っていた自分が恥ずかしい。



だから……、



「君!私に絵を描いてくれないか!?」

「へ?(パチクリ)……おじさん、…だれ?」

「私の名はアウザー。
私の屋敷で、ぜひ絵を描いてくれないか!」

「???」










「うわぁー!おっきい屋敷!」

「聞くところによると、君は一人で旅しているんだってね?
小さな女の子がまたなんで…。
どうかね?しばらくうちで絵を描いていっては。」

「え…いいの?」

「ああ、いいとも。部屋はいくらでもある。
それに私にはもう一緒に暮らす家族がいないからね。」

「…アウザーさん。」

「さて、君に絵を描いてもらう前に、私のコレクションを見てもらいたい。
さぁ、入りたまえ。」

「ふぁ〜!絵がいっぱい!!」

「私は絵画収集が趣味でね。これらは世界中の有名画家に描いてもらったものだよ。
まぁ、退屈な大人の遊びさ。」

「……あの一番大きな女の人の絵、素敵。…でも何か欠けてる感じだわ。」

「!?…君!この絵が解るのかね!?」

「あたし、ピクトマンサーなの。」

「こりゃ驚いた…。
この絵はラクシュミといってね。原画(オリジナル)は画家名も製作日も不明なんだ。
前に競売場へ行ってから、妙にこの絵が頭から離れなくてね。
それ以来、世界中の画家に描かせてみたのだが…。
う〜ん、どれもどこか欠けている気がするのだよ……

…そうだ!君、この絵を完成させてくれないか!?」

「え?あたしが!?」

「一目でこの絵を見抜いた君の感性なら、きっとその“欠けたもの”が解る!」



あたしが…仕上げなんて…、引き継ぐなんて…。
できるかしら…?

……けど、見てみたい。
完成したこの絵を…。
この絵が持っている想いを…。

こんなこと、初めての試み。
これは、挑戦…!
あたしの力(感性)が試される時なんだ!



「…アウザーさん。…あたし、やるわ!!」



…ごめん。おじいちゃん、みんな。
ちょっとだけ、あたしに時間をちょうだい。

もっとみんなの力になれるよう、強くなるから!
もっと強くなって、みんなを捜しに行くから!















------------------

あたしもみんなと、戦いたいの…!

------------------



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ