NOVEL
□小さな衝動たち
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ふいに目があったから、互いに肩を竦めてキスをした。
二人腰掛けたソファの上で、雲雀は照れくさそうに髪を弄くる。
それが可愛くて、またその頬にキスをした。
雲雀の照れ隠しにただ微笑んだこの表情が好き。
私も胸一杯の愛を出来るだけ笑顔に変えるけど、下手くそで、やっぱり雲雀に叶いやしない。
けれどそんな私の頬を、「良くできました」、そんなふうに褒めみたいに意地悪に笑いかけて撫でる雲雀も大好きだ。
二人はいつも二等分の愛を望んで、誓った。
勿論誓いなどこの恋心をちいさくこする音に過ぎなくて、こうして寄り添って二人一つ、一分の一。
「クロームが大好きだよ」
「うん、、、、雲雀が大好き」
恋人たちは同じ欲求に駆られるもの、どちらともなくまたキッスを交わした。
貰った気持ちは全部、等倍で返すよ。
好きだからって、ただそれだけで。