夢小説


□お題夢『大好きだよ、大好きでした』…黒執事/葬儀屋
1ページ/1ページ




私は葬儀屋で働いている。私はスラム街で生まれて、就ける職がほとんどない中、
唯一給料も良くて、大して条件無しで働けるところは、葬儀屋くらいしかない。

皆嫌がる仕事だけれど、生きるためには働くことが重要となってくる。
だから私はこの職に就いた。

そして、私は生まれて初めて、この葬儀屋で働いて、恋をしました。



「夢生ちゃ〜ん、仕事、捗ってるかな?」
『あ、テイカーさん。はい、大分慣れましたし、大丈夫ですよ。』


お相手はアンダーテイカーさん。
テイカーさんのお知り合いの方は、テイカーさんをただの変人扱いしているけど、
実は結構優しいところだってある。


現に、今だって私のことを心配してくれているし…
ただの自惚れかもしれないけどね。


「そうかい?ならいいんだけどねぇ…
そういえば、もうすぐクリスマスだけど、
夢生ちゃんは何か予定とかないのかい?」


『全く無いです…』


悲しいですけど…。
でも平気。こうしてお仕事していれば、大好きな貴方と一緒に居られるから。



「う〜ん、じゃあ、お仕事クリスマスも入れちゃっていいのかな?」

『はいっ、大丈夫です!!』

「うん、いい返事だ…」


よしよし、と頭を撫でられる。
むしろお仕事大歓迎です、とはさすがに言えなかったが、
今ちょっとした幸福感が込み上がってきた。


クリスマスに、告白してみようかな…

聖なる日だもんね!決めた、告白してみよう!


それから私は借りている家に戻り、クッキーを作る練習をした。
あまりお菓子作りなど手慣れていないため、
結構難しかったが、一応クッキーらしきものは作れるようになった。


あとは、クリスマス当日を待つだけ。


――――


数日経ち、ようやくクリスマス当日になった。
あれからクッキーも上手く作れるようになったし、それはいいんだけど…


『あの、テイカーさん…。』

「ん、どうしたのかな〜?夢生ちゃん。」

『や、やっぱり何でもありません…』

「おかしな夢生ちゃんだねぇ〜」


先程からこの調子で、渡すタイミングが掴めない。
どうしよう、告白どころか渡す事すら出来ないなんて。

もう、後には引けない。私はそう強く思い、ようやく渡す決心をした。


『て、テイカーさんっ、あ、あの、これ…』

「クッキーだねぇ…夢生ちゃんが作ったのかい?」


『は、はいっ、あ、あのっ…

好き、です、テイカーさんのこと、が…』


あぁ、ついに言っちゃった。そう思いながらテイカーさんの様子を伺うようにそっと顔を上げると、

固まったように、全く動かなかった。


『あ、あの、テイカーさん…?』

「夢生ちゃ、んが小生のことを、好き…?」

『は、はい…』


改めて言うと、やっぱり恥ずかしくなってくる。
思わず顔を背けた私はいつのまにか温かなぬくもりに包まれていた。


「嬉しいよ〜…小生も、夢生ちゃんのことが、好きだったからねぇ…!」

『ホント、に…?』

「小生は嘘をついたりしないよ〜」


そのままテイカーさんはそっと優しいキスをしてくれた。
初恋は実らないと言うらしいけれど、そんなことはないと思う。


貴方を好きになってよかった。

私のことを好きになってくれてありがとう。



(大好きだよ、大好きでした)(でもこれからは、)(愛しています)



END.





かなりお気に入りです♪
[‡STONEGARDEN WHITEROSE(石庭の白薔薇)‡]の氷菜様にクリスマス企画で頂きました♪

氷菜様ありがとうございました♪

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ