novel

□卒業
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 3月──それは卒業。
 聖夜学園小でもそれは例外ではなく、あと数日で卒業式が執り行われる。


 今日の授業も終わり、あたしはロイヤルガーデンへの道を行く。
『今日のお茶会のお菓子はなんだろーねぇ』
 と、ラン。
『ボクのカンではガトーショコラとみたね』
 と、ミキ。
『きっと今日は可愛らしい苺のショートケーキですよぉ〜』
 と、スゥ。あたしは三人の会話を聞いているだけ。会話に加わる気分になれないからだ。何でか気分が暗くて、重い。
『ねぇ、あむちゃんはどう思う?』
「んー…うん…」
『どーしたのあむちゃん?』
『心ここにあらずみたいなカオですよぉ?』

「おーい!日奈森ーっ!」
 空海があたしを呼ぶ声がした。
 あたしは振り返る。
「あ…空海…?どーしたの…って、わわっ!」
 いきなり空海があたしの腕をつかんで引っ張る。
「ちょ…ちょっと空海!?」
「これから走りこみしよーぜ!たまには体動かさねぇとな!」
「えぇっ!?ナニその展開!!?」
 あたしは驚きながらも空海に引っ張られるがままに走る。
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