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□お前の満ちる先
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【お前の満ちる先】


あの野郎、どこ行きやがった。

湿ったタオルを首に掛け、空になったベッドに腰を下ろす。
お互いの混ざり合った匂いが残るシーツ。

もう一、二発ヤッてやりゃぁよかった。
そうすれば動くこともできなかっただろう。

グリムジョーの乱姿を思い出すようにシーツを睨む。
無理やり抱いたあの日からどれくらい時間が経ったか。
反応する場所、甘く啼く場所を一つ一つ見つけ出して欲望を吐き出させる。
同時に自身の欲望も余すことなくぶつける。
反抗的でしかなかった瞳が今じゃぁ艶っぽく揺れ、握り締めていただけの拳が突き上げる俺の背中を熱く抱きしめてくる。
『もっと声出せよ。』
そう耳元で囁いてやると可愛い声を部屋中に響かせ、反吐が出そうなほど甘い声で俺の名前を連呼する。


漸くだ。
漸く、身体だけでなく、心も俺に向き始めた。


身体を支配するのは簡単だ。
イイ所を突いてやれば嫌でも啼く。甘い声でもっと、もっとと啼き叫ぶ。


…最初はそれでよかった。
アイツより先に身体を奪えただけで、それでよかった。


それがいつの間にかグリムジョーの心まで欲しくなって。
グリムジョーの全てを、俺のモノにしたくて。


だけど。
心を俺に向けさせる方法なんて知りやしねぇ。
今まで、そんなモノを欲しいと思ったことがねぇんだから。


 
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