コラボ作品の部屋

□アリーナの悲しみ クリフトの悲しみ
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「お、お父さま・・・どこなの?どうして、だれもいないの?」
「城全体が神隠しにあったようですね・・・。」
「サントハイムに、何が起ったというのじゃ・・・。」

エンドールの武術大会で優勝したときの、高揚した気持ちはすっかり消え失せていた。

どうして、どうして・・・。
疑問と不安だけが頭の中を駆け巡る。

サントハイムの異変を伝えに来た城の兵士の様子から、何かただならぬことが起ったであろうことは予想される。

しかし、城には何の痕跡もない。

あんなに会いたかった、お父様はどこ?


どうして、どうして・・・。

アリーナは混乱しながらも、城の隅々まで手がかりを探す。
クリフトとブライも必死で後を追うが、徐々に落胆し、血の気のひいていくアリーナを見ているのが忍びなかった。


絶望している三人の前に、一匹の白い猫が現れた。

「・・・ミーちゃん。ミーちゃんなの?」

ミーちゃんと呼ばれた猫は、アリーナをみると駆け寄って甘えた。
いつもは、呼んでも振り向くだけで人に甘えることなんてなかったのに・・・。

よほど怖い目にあったのだろう。アリーナはその猫を抱きしめ、号泣した。

「ごめんね、ごめんね・・・!!今まで一人ぼっちにさせてしまって・・・!」

私が城を離れたから。
私がわがままを言ったから。

だから、こんな目に・・・。

クリフトもブライも、アリーナにかける言葉がなかった。
気の済むまで泣かせてやろうと、見守っていたそのとき一匹のスライムが現れた。

「・・・おのれ、魔物!!お前たちの仕業なのね、許さないわ!!」

「ち、ちがうよ!ぼく悪いスライムじゃないよ!」

「!!」

人の言葉を話すスライムに、クリフトとブライはただ驚いたがアリーナは違った。
憎しみの感情をむき出しに、スライムに飛び掛かる。
「姫さま、おやめください!」
クリフトはアリーナの前に立ちはだかるが、アリーナは耳を貸そうともしない。
「姫さま、たとえスライムでも・・・、このような無抵抗の者に力を振るってはなりません!」
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