コラボ作品の部屋

□アリーナの悲しみ クリフトの悲しみ
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クリフトの言葉に、アリーナは青い顔をしながら返した。

「・・・力?私に、なんの力があるというの!?お父様や、城の皆が何処に行ったかさえわからない私に、・・・何もできない私に!!」
なおもスライムに拳を挙げようとしているアリーナを、クリフトは背後から押さえた。

「姫さま、どうか落ち着いてください。このスライムから何か聞き出せるかもしれません!」

クリフトの腕の中でもがきながら、アリーナは今度はクリフトに感情をぶつける。

「・・・お前は、どうしてそう、いつも冷静でいられるの!?この城の様子を見て悲しくないというの!?」
クリフトが悲しまない筈はないと、頭ではわかっている。
サントハイムに忠誠を尽くし、人望も厚かった彼だ。大事な人や、親交深い人々もいたであろう。

しかし、口からは思ってもない言葉が飛び出してくる。

「お前は、サランの孤児だったから・・・!!サランは平和だったから、お前には私の気持ちがわからないのよ!!」


クリフトが私の気持ちをわかろうとしなかったことが、今までただの一度だってあるものか。
ただ、サランにも大事な神父様やシスターがいるクリフトがうらやましい。
私には、サントハイムの城が全て。
サランや、他の国は平和だったのに、どうしてサントハイムの城だけが・・・。


クリフトは、腕に力を込めながら、叫んだ。

「私は、何より、貴女が大事なのです!!」

「!!」

な、何を言っているの・・・?
私が、姫だから?
でも、今、城がこんな状況では自分は姫などではない。
ただの、無力な女の子だ・・・。
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