コラボ作品の部屋

□本当の宝
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「・・・・・!!」


アリーナはつぶっていた瞳をそっとあけると、

「・・・お怪我はありませんか、姫様?」

クリフトが自分に覆い被るようにして、瓦礫を背中で支えてくれている。

「クリフト!血が出てるよ、ホイミして!」

アリーナは、額や背中から血を流しているクリフトを気遣うが、

「・・・すみません。ちょっと、・・・重くて。・・・っ!!」

クリフトは瓦礫に耐えかねて、肘をつく。

「いいよ、クリフト!私も支えるからっ!」

アリーナは叫ぶが、

「・・・きっと、もうすぐ、皆さんが、助けて、くれます・・・。」

「・・・クリフト!」


クリフトは、歯を食い縛り、瓦礫の重みに耐える。

アリーナは、何の呪文も唱えられない自分が歯痒かった。
いつも、無鉄砲な自分のせいで、迷惑をかけて、危険な目に合わせて・・・!


「クリフト・・・!」
「姫、様・・・!」

アリーナはそっと、薄れゆく意識の中でクリフトに口付けをする。



クリフト・・・。
クリフトと一緒なら・・・。 


・・・ごめんなさい、お父様。



「ベホイミっ!ベホイミ・・・!!」

外ではミネアが狂ったように回復呪文をかけ、
皆も必死に瓦礫をよけていた。

「アリーナっ!クリフトっ!」
皆、返事がないことに絶望しそうになる。

「ああ、そうだ!」
トルネコはポンと手をつき、
「助けて下さい!!」

そう叫ぶと、商人の仲間たちがどこからともなく集まってきた。

「こういうときは、『人の力』ですよ。」
「我々が来たからには、必ずお二人をお助けしますよ。」
「さぁ、一緒にがんばりましょう!」


「あ、ありがとうございます!」
勇者は商人の仲間たちに深々と礼をすると、また急いで瓦礫をよける。
ブライも、ゴシゴシと手の甲で涙を拭うと、作業を続けた。



そして、やっと・・・

「あっ!アリーナ、クリフト!!」


しかし、返事がない。
勇者は二人の脈を取ろうと急いで駆け寄りながら叫ぶ。
「ミネア、ベホイミかザオラルを唱えるぞ!」
「はい!」



その時、

「ぱちり。」
と、二人は目を覚まし、何事もなかったかのように立ち上がった。


「・・・・・!!」

「ひ、姫様、クリフト・・・!どこか、怪我は・・・!?」


ブライが二人に泣き付くが、

「ああ、ごめんね。どこも、何ともないみたい・・・。」
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