コラボ作品の部屋

□たまごとにわとり
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あいつが、村を、シンシアを殺したから、おれは旅に出て

 おれが、旅をしている間に、あいつはロザリーを失った。

 だからって、そんなことで、おまえは心すら失って、世界を滅ぼそうというのか。

 おまえがやろうとしていることは、ロザリーの愛した世界を、ロザリーの痕跡を消し去るってことだ。
 おまえがやろうとしていることは、欲しいものが手に入らないってモノに当たる馬鹿なガキと一緒だ!

 そんな甘ったれた野郎に、おれは全てを奪われたのか!?


 少年の乳白色の肌に朱が走り、剣を握る手からは血の気が引いた。
 溶岩の中で覚醒を待っている異形の王。
 醜く変形し、彼の王の面影はどこにも見られない。
 それでも彼女は、慈母のごとき穏やかな笑みをたたえ、細い両腕を差し延べる。愛しい我が子を抱きしめるように。


 ロザリーは確信を持っていたが、少年には彼女ほどの確信はモテなかった。
 もし、デスピサロが彼女をわからず、その爪を振るうなら、少年は彼女を守るため、世界と仲間を守るため、エルフの娘の目の前で、異形と化した愛しい男を屠らねばならない。

 もし、そうなったら…

 少年はちら、とエルフを見る。
 人間にひどい仕打ちを受け、魔物に囲われ、それでも世界を憎むこともせず笑みを称えていた娘。
 魔物を愛し、愛された娘。

 目の前で愛しい男を殺された時、彼女はどんな表情を見せるだろう。世界を、少年を、憎むだろうか。呪うだろうか。

 それでも、世をはかなんで死なれるよりは余程いい。
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