OTNER*NOVEL

□追いかけっこ
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まぁ、驚かなかったと言えば嘘になるけど。それはほら、彼との付き合いの中でたいていのことには慣れてきつもりで。

……――――だから。

走ってきた勢いのまま抱きつかれて、それを倒れないよう一生懸命耐えていたところ更に強い力で体の向きを変えさせられ、何故だか恐ろしい形相で睨みつけてくる2つ年下の部活後輩の方へと押しやられたとしても、まぁなんとか表面上は平然としていた。


「で、一体何がどうしたのさ、英二……と越前?」

僕は、とりあえず改めて彼らへとそう問いかけた。



「不二ぃ、ひっどいンだぜぇ、おチビのヤツ!ちょっとガツンと言ってやってよ!!」

「言ってやって……って言われてもね。だから、何があったのさ、英二。」

「不二先輩、そこどいてクダサイ。」

「越前、ちょっと落ち着こうよ。」

「………菊丸先輩。」

「駄目。絶対嫌。それ以上こっち来んな。」

「本気で怒りますよ?」

「俺の台詞。」

「こっち来てクダサイ。」

「嫌。」

「強情。」

「今更。」

「意地っ張り。」

「お互い様。」

「馬鹿。」

「……バ…―――!?おっ前いい加減にしろよ!!?いくら温和で優しぃい俺でも限度ってもんがあるんだぞ!不二ぃ、コイツなんとかしてよっ。」



正直。ここで名指しで呼ばれなかったら僕は早々と退散していただろう。さんざん人のことを無視していて、急に「なんとかしてくれ」はないだろう?もう勝手にやってくれという感じだ。
とりあえず英二以外の頼みならきっとすぐにでも放り出していたところだけど。

(仕方ない、か。)
 

 

 頼まれたのは他でもない英二だ。



 僕はしぶしぶながら越前の方を見据え、本日三度目の問いを口にした。




「だから、君達何があったのさ。」




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