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□02.心臓が痛いです
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(ぁあもう…、最悪だ。)




今日も今日とて昼休み。


社員食堂を使うと周りに迷惑が掛かると悟ってから来るようにしてる一般兵のロッカールーム。
購買で買った菓子パンと焼きそばパン、野菜ジュースを片手にその場所へ向かうと、そこには既に彼等が居て。

暫く見つかっていなかったから大丈夫かなと安心しきっていた為に、その姿を認識した瞬間に落ち込んだ気持ちを浮上させる術を俺は持ち合わせてなくて。

暫く思索した後、諦めと疲労感と共にその部屋の中へと入って行くと、彼等は酷く嬉しそうな顔で俺の事を迎えてくれた。

「クラウド、最近見かけないと思ったらこんなトコにいたんだな。」

「ふん。こんな狭苦しい所に来なくとも、一言言えば俺の部屋に招いたものを。」

「クラウド、その量で足りるのか?行きつけのレストランから取り寄せた食事だ。よかったらこちらを食べろ。お前の口に合えばいいが。」

三者三様、声を掛けられるが、それぞれに答える余裕が無くて「ああうん」と曖昧な返事を返して近くの椅子に座り込む。

焼きそばパンをビニールから剥がして口に含み、ジュースの口を開けて横に置くと、ザックスがその隣に移動してきたのが見えた。

「なぁ、クラ。今日の夜って開いてる?」

「夜?別にこれといった用はないけど…」

パンを頬張りながらそう答える。今日は夜間警備の担当ではないし、飲み会の誘いも受けていなかった。
俺の言葉にザックスは嬉しそうにそっか!と笑うと、じゃあさと話の核を語り出した。

「俺と一緒にパーティーに…」

「抜け駆けは許さんぞ子犬。」

ザックスの言葉を遮ってジェネシスが迫る。
俺の前に跪いてパンを持っていない方の手を取られると、彼はそっとその手に口付けた。

「クラウド、俺と一緒に出掛けないか?退屈なパーティーでも、お前とならば楽しめそうだ。」

「パーティーって…一体何の話なの?」

相変わらず話の見えない言葉の数々に首を傾げる。

「今日、神羅主催のパーティーがあるのさ。ソルジャー1stはパートナー同伴で強制参加。何とも面倒な話だが、無視する訳にもいかなくてな。」

俺の問い掛けにセフィロスが掻い摘んで答えてくれた。成る程。そのパーティーの相手役に俺を誘って……。


(って。)


「何で俺なんだよっ。パートナーって言ったら誘うのは女の人だろ?」


「だぁって。俺クラがいいんだもん。それに、そういうトコ一緒に出たら公認も同じだろ?」

「先程も言っただろう?お前とならば退屈しないと。」

「あのね、男の俺がパートナーで認められる訳ないだろ?」

話していると段々馬鹿らしくなってきて溜息を付く。こいつ等は常識という言葉を知っているのか?

「だから、別の子探してよ。」

俺の言葉に反論がないので今回は何とか逃げられそうだと胸をなで下ろす。

焼きそばパンを一気に口に含んで野菜ジュースで飲み込むと、ジェネシスの手を解く。

「…そうだな。」

腕を組みながらぽつりとそう漏らしたセフィロスに、さらに確信は募る。

しかし、続けて発せられた言葉によってその確信は無情なも砕け散っていった。


「ならば、女の姿ならば文句は出まい?」



(…はい?)



「ドレスを着て化粧でもすれば、元々華奢な体だ。女に見えなくもないだろう。」

セフィロスから出た信じられない言葉に自分の耳を疑う。
しかし直ぐに気を取り直して馬鹿言うなと言おうと口を開くとわずかの差で先を越された。

「セフィロス、ナイスアイデア!!」

「流石だな、我が友。」

口々にセフィロスを讃える声。
それと共に青くなるのは俺の顔色だった。

「…冗談だよな?セフィロス。」

「俺は至って真面目だが?…という訳でクラウド。俺と一緒にパーティーに行かないか?」

「い、嫌だ!!」

『クラウドっ』

「絶対、無理だぁ!!」

言うが早いか、俺はロッカールームを飛び出してがむしゃらに走り出した。


極限まで追いつめられると人間ここまで出来るんだってぐらいのスピードで逃げる。

息が苦しくとも片腹痛くとも構ってなんていられなかった。

















(あぁ母さん。)


2.心臓が痛いです


(こんなこと続けてたら、いつか絶対死んでしまう!!)



→アトガキ

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