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□03.夜中に徘徊する習慣があります
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最近、頻繁に見掛ける人物が居る。





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タークスの仕事は毎日深夜まで掛かることが多い。
今日もまた、夜食を買うべくコンビニへ向かうと…、居た。


店の前の車止めの上に座り込み、肉まんにかじり付いている金色のチョコボ頭。
寒いのか、体を小さくしている様が何とも可愛らしい。
可愛い、と言っても相手は女なんかじゃなくて。
見目麗しいその姿は男のソレだった。

(…もったいないな、と。)

店に入る直前、横目でチラリと様子を伺うと、そいつは袋から別の食べ物を漁っている所だった。

その時見えたうなじの白さにドキリ、とする。

(いくら可愛いからって、男にときめくなんてどうかしてるぞ、と。)

数回、頭を降ってその感情をやり過ごした。



買い物を済ませて店を出ても、そいつはまだ同じ場所に居て。
今度はおにぎりを頬張っている姿を眺めながら、一つ溜息を付くとその隣へ無遠慮に腰を下ろした。

「これやるぞ、と。」

「……、え?」

手に持っていたホットコーヒーをそいつに差し出しながらそう声を掛ける。
言われた相手は食べていたおにぎりを咀嚼しながら首を傾げる。
暫くぽかんとしていたかと思うと、何を言われたのか理解したのだろう。
急にわたわたと慌て始めると、そんな、いいです。とモゴモゴと口を動かした。

「俺は飲めないヤツだから、貰ってくれたら有り難いんだぞ、と。」

そう言って差し出していたものを無理矢理押しつける。
すると、そいつは少し戸惑いながらも、ありがとうと言ってふわりと笑った。

(やっぱり、可愛いヤツだな、と。)

その笑顔に見とれながら再びそう思う。

「お前、こんな所で何してんだ?」

こんな夜更けにこんな美人が1人でいたら危ないぞ、と胸ポケットから煙草を出しながら話掛けると、そいつは苦笑しながら「俺は男だから平気だよ。」と言った。
それを踏まえた上で言ったんだがなぁと思いながら出した煙草に火をつける。

「この辺りは男でも物騒な場所だぞ、と。それ飲んだらさっさと帰るのをオススメするぞ、と。」

「アンタ、タークスだよね?」

俺の言葉を聞いてるのかいないのか、そいつは全く脈絡のないことを聞いてきた。
イキナリ何だと思わなくもなかったが、そんな事を聞いてきたそいつの顔が真剣だったから、俺は思わず頷いていた。

「そうだぞ、と。」

「じゃあ、専用の寮があったよね確か。」

「そうだけど…お前何で知ってるんだ?」

確かに、タークスにはソルジャーと同じか、それ以上に優遇された寮をあてがわれていた。
中に入れるのも、タークスもしくは直属の上司のみと管理が徹底されていた。
しかし、表向きエリートと名を馳せていても所詮平社員のタークス。裏の仕事故の待遇のため、その事実を知るのはごく一部の人間のみの筈だったのだが。

「前に聞いたんだ。タークス専用の寮があって、ソルジャーでさえ入れないって。」

「お前…何処で聞いた??」

「ジェネシスから。」

「ソルジャークラス1stの?お前、一体…」

「そんなことより!」

一般人にそんな極秘情報を把握され、尚且つ情報源がかの有名なクラス1stだと言うから二重に驚きだ。しかし、一体何者かと問う声を遮られる。
機密事項をそんなこと、と斬って捨てるそいつの迫力に押されて黙ってしまった俺に、そいつは目の前で手を合わせて頭を下げた。

「お願い!今日だけでいいんだ。アンタのトコに泊めてもらえないか?」

「はあ?」

「無理を言ってるのは承知してる!けど、今日だけはどうしてもゆっくり寝たいんだよ!頼む!!」

「いや、そう言われてもな。流石にそれは頷けないぞ、と。」

瞳をウルウルさせながら頼まれる姿には胸動かされるが、ここで頷いてしまえば後々面倒な事になるのは目に見えていて。
しかも相手は何処の馬の骨ともわからない少年。

何か事が起こってからでは遅いのだ。

「悪いが、素性の知れないヤツを懐に入れる程、生易しい世界じゃないんでな。」

「じゃあ、コレ。神羅のID証とチップとドックタグ。アンタに預けるから、調べてよ。」

「お前、神羅の兵士だったのか?と。」

意外な事実に目を見開く。確かに、ソイツが差し出したものは見覚えのある神羅の犬を示す証ばかり。
しかし、反神羅組織でないと分かっても、警戒は解かなかった。職業柄、相手が誰でどんなヤツだとしても気を抜かないように訓練されていた。

(まぁ、警戒しなかったにせよ、こんな細っこい坊ちゃんにやられるような事はまずないけどな、と。)

「名前は、クラウド・ストライフ。第三部隊所属、と。」

手の中にあるID証を読み上げてみると、ふと感じる違和感。

(クラウド、クラウド…。どっかで聞いたことがあるような…?)

「お前、一般兵なら一般兵の寮がちゃんと用意されてるだろ?ゆっくり寝たいなら、そこに帰ればいいんじゃないか、と。」

「それが出来ればこんなとこにいない…。」

酷くうなだれて呟かれた言葉に、俺は少し興味を引かれた。
無理と分かっていてもわざわざタークスの寮に行きたいなどと言った、
その理由を知りたくなった。

「お前、なんでタークスの寮に来たいんだ?」

深く考えないで口をついた問い掛け。

















しかし、数分後。



その理由を聞いたことを酷く後悔することを、この時の俺はまだ、知らない。




03.夜中に徘徊する習慣があります

(じゃないとロクに眠れやしない!!)



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