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□04.神様に愛されていますから
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「本当に助かったよ。有難う、レノ。」


「俺はたまにしか帰らないからな。暫く居ていいぞ、と。」


冷蔵庫を開けて、缶ビールを二本取り出す。
一本をクラウドに差し出し、一本は自分用にプルトップを開けて口を付けた。

「レノっていい奴だな。」

中身を一気に飲み干すとクラウドに視線を向ける。俺の事を良い奴呼ばわりする気が知れなくて内心呆れたりしたけれど。
ニコニコと満面の笑みを浮かべてそう言われれば悪い気はしなかった。

「お前、明日早いんだろ?さっさと風呂入って寝ちまえよ、と。」

「うん。」

「タオルはその中。ベッドはそのドアの奥だぞ。朝飯は適当にあるやつ食べればいいからな、と。」

明日の朝までに必要な事はとりあえず伝えておく。寮を出るときには専用のIDが欲しいため、自分が一緒に行かなければいけないが、部屋の中を動き回るのは自由だ。
今からまだ仕事が残っていて暫く寝れない身としては、朝はギリギリまで寝ていたいのが本音だった。

「本当に、何から何まで有難う。」

「礼なんていいぞ。俺も好きにするからな。お前も適当にやっててくれりゃいいんだぞ、と。」

「うん、じゃあ先にお風呂もらうね。」

「ああ。」

クラウドがリビングから出て行った後、ソファに腰掛けてここに来るまでの遣り取りを思い返す。

(ザックスにジェネシスにセフィロスなんて、アイツも何て奴らに目を付けられてんだかな、と。)

今に至るまでの経緯を聞き終えた後、俺は何て面倒な事に関わったんだと頭を抱えたくなったものだ。

しかし、うなだれるクラウドがあまりに不憫で。
思わず部屋に上げることをOKしてしまった。

(ま、かの英雄殿がご執心なんだから、変な素性はないだろうしな。)

首を左右に捻りながらネクタイを解いてスーツの上着を脱ぐ。
かの英雄殿と戦うのは避けたいが、ザックス辺りとなら、実は一度ヤリ合ってみたいと思っていた。
普段、ソルジャーとの戦いは御法度とされていたから余計に好奇心が胸をくすぐる。深い意味は無いのだろうが、単に身内同士で争う無意味さを判っての規定だろう。

訓練でさえ滅多に交えることのないソルジャーとの拳や剣を受けてみたいと思う。
今回の出来事は、その思いを実現出来るチャンスだと思った。
最近デスクワークばかりで鈍っていた体が疼くってものだ。
俺はシャワー室を振り返りながらゆるりと笑む。






ミッションが出来た。


手の内に転がり込んだ姫を守るというミッション。



(さて、と。彼奴等は、いつになったら姫の居場所を突き止めますかね、と。)



その時のことを思って、俺は浮かぶ笑みを更に深くした。












04.神様に愛されていますから

(負ける気は、さっぱりしないんだぞ、と。)




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